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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十五章 聖女、深入りする

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301.シン様の指示で仕立てました

 レイナも似たようなもので野望もないし、それどころか欲望すら希薄だ。

 聖力で何でも出来てしまうので欲しい物とかやりたいことが見つからない。

 アニメやコミックも暇つぶしだし。

 レスリーのように命を賭けるほどヲタクというわけでもない。

 空っぽだ。

「それは別に悪い事じゃないよ」

 シンが飄々と言った。

「むしろレイナが積極的に何かしようとしたら、十中八九壊滅的な結果を招くと思う」

「酷い」

「ミルガンテで散々習ったでしょ。

 聖力は人間には身に余る力なんだよ」

 それはそうだけど。

 でも人のことを破壊神みたいに言われるのはさすがに不快だ。

「だったら救世主になってみる?

 末路は十字架に(はりつけ)だろうけど」

「それも嫌だな」

 いくら聖力持ちでも個人が出来ることなど知れている。

 マイナス方向になら相当な事が出来そうだが虚しいだけだ。

「判った」

「ま、そのうちやらなきゃならないことも出てくると思うよ。

 それまではのんびりしていれば」

 ということでレイナはのんびりしていたのだが。

 いよいよ臨時総会とやらが開かれるという日、朝一番でやってきたレスリーが差し出したのは懐かしい服だった。

「これは?」

「シン様の指示で仕立てました。

 何でもレイナ様の正式な衣装ということで」

 ミルガンテの大聖殿聖女服だった。

 驚くほど再現されている。

 シンプルだが上品さと高貴さを発散させているフード付きのローブだ。

 服だけではなくて靴もある。

 レイナが大聖殿で履いていたものと比べても遜色ないレベル。

 着心地や履き心地はむしろこっちの方がいいくらいで。

「どうしたのこれ」

「シン様がデザイン画を下さって急遽仕立てたと聞いています。

 サイズも合っているかと」

 ふーん。

 早速着てみた。

 下着だけになってから被るように着込むと、長らく忘れていた聖女としての感覚が戻ってきた。

 サイズ的には少し窮屈だった。

 地球(こっち)に来てから美味しいものを食べ過ぎて少し太ったからなあ。

 それでもレスリー辺りに言われるとモデル並に細いそうなのだが。

 聖力で聖女服のサイズを調整する。

 やってみたら出来た。

 自分でもどうやったのか判らないけど、身体に完全にフィットしている。

 なぜかレスリーが仰け反っていた。

「……レイナ様」

「何?」

「それが神力(みちから)なのでしょうか」

 ああ、それは驚くか。

 レスリーはレイナが人の病気を治すところを何度も観ているはずだけど、あれは外見的には変化がないものね。

 目の前で服が突然変化したらそれはビビるか。

「私は聖力と言ってる」

「どっちにしても奇跡です!」

 それはそうなんだけど。

 聖力は無敵だけど万能というわけではない。

 例えば人の心は変えられないし、見えない物は操作できない。

 非常識なこともやろうと思えば可能だけど限界がある。

 ミルガンテでも身に余る現実改変を強行しようとした人が死んでしまうという事故が度々起きていた。

 レイナの場合、そこまでいった経験はまだないけど程度問題だろう。

 何事にも限度というものがある。

「これからどうするの?」

「衣装合わせの時間をとってありましたが、レイナ様には必要ありませんでしたね。

 呼ばれるまでは待機して頂きたいということです」

「判った」

 レイナはさっさと聖女服を脱いだ。

 これは言わば仕事着なので、プライベートでは不要だ。

 汚したら拙いし。

 まあ聖力で綺麗に出来るけど。

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― 新着の感想 ―
前任者!の時代 移動手段も通信技術も未熟だったから 手を広げたなら現地責任者に判断と行動を任せる必要が で使えて信用できる人材の不具や不治を修復して 下働き出来るくらいのささやかな超常を使えるように…
あー コレで名実共に結社に君臨する事になったら 始祖の時代にあって 今まで形骸化していた 十傑集とか12使徒とかの役職が意味を持って来るのだな トップが知らんとこで どーなんだろ
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