表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十四章 聖女、歓迎される
307/351

294.食事の用意が出来たとのことです

 そんな状況を作り出す事でミルガンテは落ち着いている。

 逆に言えば争いがないために文明や文化が進歩しないのかも。

 技術が発展しないから食料生産が増えず、養える人口が増えない。

 それでずっと停滞しているんだろうな。

 でも地球(こっち)は違う。

 まず聖力持ちがいないために、人口が多くてまとまっている方が単純に強い。

 昔は強力すぎる核兵器が開発されて複数の大国がそれを持つことで均衡がとれて、表面的には平和だったみたいだけど、その神話が崩れてしまったらしい。

 強力すぎる兵器は使えないことが判ってしまった。

 過去にシンやレイナのいた日本という国に二発使われて、その威力というか被害が酷すぎた。

 しかも核エネルギーが危ないことがその後の自然災害や人為的なミスで判明してしまって、言わば地球全体が核アレルギーに陥ってしまった。

 つまり、存在はともかく誰かが使ったらその瞬間に使った勢力は世界の敵に回る。

 この辺り、ミルガンテの聖力持ちに似ている。

 何せ核兵器も聖力も使われたら隠しようが無い。

 威力がありすぎて。

 結論として核も聖力も使えない。

 使えない兵器なんか持っていてもいなくても同じだ。

 ということでこの地球(こっち)では混乱が始まっているみたい。

 核兵器を持っている国と持っていない国が戦争しても、勝敗が判らなくなった。

 核兵器を使うぞ、という脅しが使えないから。

 だって使ったら負けだ。

 ミルガンテではまだ時々聖力持ちが事件を起こすんだけど、比較的簡単に制圧されて終わっている。

 それは聖力が個人使用に限られるからだろう。

 個人がどんなに頑張っても集団には負けるし、討伐されて終わりだ。

 ということは。

 レイナも世界を相手に戦えるほど強力ではないし、むしろレイナ自身には何の野望もないんだから心配する必要はなし、と。

 シンに任せておけばいいか。

 いつものように人に丸投げして思考を放棄するレイナだった。

 テレビを観ていても面白くないのだが、他にやることがない。

 スマホを弄っても誰も連絡してこない。

 みんな忙しいんだろうなあ。

 ていうかその原因はレイナなんだけど。

 日本にいるナオやサリも沈黙してしまった。

 多分、シンの命令で会社を回したりしているんだろうな。

 リンからも何も来ないのはちょっと寂しいけど、よく考えたらリンだって忙しいんだろう。

 何せ高認が(泣)。

 というわけでやっとレスリーから連絡が来たときはほっとした。

『レイナ様。

 起きてますか?』

「退屈している」

『食事の用意が出来たとのことです』

「すぐに行く」

『案内が行きますのでお待ちください』

 この屋敷での食事となると、ひょっとしたらグロリア様とかと同席かもしれない。

 ならばということで多少はおめかしする。

 もっともレイナの場合、基本的にすっぴんなので一般的な女性の準備とは違う。

 服を着替えるだけだ。

 待っているとノックの音がした。

「レイナ様」

「今行く」

 案の定、ドアの前に居たのはレスリーだった。

 案内役までやっているのか。

 本人が満足そうなので過重労働では無いみたい。

 ていうかブラック企業のやり甲斐搾取?

 むしろ推しに肉体労働を貢いでいるという状況が近そう。

「こちらです」

 廊下を延々と歩いて踊り場があるような立派な階段を降りて進み、レストランかと思うような部屋にたどり着く。

 ファミレスなんかとは桁が違う重厚な内装のディナールームだった。

 晩餐会というよりはごく親しい人を招いて行う少人数の食事会用といったところか。

 あまり広くはないけど、テーブルも椅子もやたらと立派で高価そう。

 レイナの席は長テーブルの真ん中だった。

 貴族が主人公のアニメに出てくるようなアレだ。

 こんなの本当にあったのか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ