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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十四章 聖女、歓迎される
303/350

290.まずは片足で立ってみる。

 レスリーはどういうつもりなのか。

 ひょっとしたら本人が来るつもりなのかと思ったけど気配はない。

 ならいいか。

 多段式のお皿に山盛りのクッキーとかショコラとか、とにかく見るからにカロリーが高そうなお菓子を食べる。

 その他にもサンドイッチやらパイやらピザやらが大量に。

 これはえらいことになった。

 レイナはミルガンテが抜けきっていないので、出された食べ物を残すことに強力な抵抗がある。

 モッタイナイ精神の権化なのだ。

 とすればこれはレイナへの挑戦と見なしてもいいかもしれない。

 ポットの紅茶をカップに注いで、レイナは腰を据えて食べ始めた。

 テレビをつけると相変わらず理解出来ないニュースやドラマをやっている。

 バラエティ番組らしいものもあったけど、どうも英国風ジョークがメインらしくて理解不能なだけじゃなくて心底つまらない。

 そういえばレイナは日本のジョークすらよく判らない。

 前提となる常識が心許なくて笑いのツボが五里霧中だから。

 ニュースは言葉が判らなくても映像で何となく理解出来るので見ていたけど、ウィンザー城らしい巨大なお城をバックに見覚えがあるベンツに乗り込む白銀の髪の女の子が写って反射的にテレビを切ってしまった。

 あれもニュースになっているのか。

 英国中がレイナをストーキングしているのかもしれない。

 半分くらい食べたところで一服。

 もちろんレイナは煙草なんか吸わないので紅茶を啜りながらリラックスする。

 まだサンドイッチの類いが結構残っているけど、これは残しておいたらパサパサになりそうだ。

 クッキーやお菓子なんかは大丈夫だろう。

 なるべく食べ物から注意を逸らそうとしてテレビを点けてチャンネルを色々変えて見る。

 とあるチャンネルでは暗い舞台でレオタードの人が踊っていた。

 バレエか。

 そういえば英国ってバレエが盛んな国のひとつだったっけ。

 これは言葉がないので判りやすい。

 サンドイッチをもしゃもしゃ食べながら見入る。

 踊っている人たちはみんな針金のように細かった。

 それでいて身体機能が半端ない。

 何せつま先で立って踊ったり回転したりしている。

 人間って聖力なしであんなことが出来るのか!

 凄い訓練したんだろうな。

 舞台にはレオタードを着た男性も出ていたけど、その人達は細身に見えて筋肉が際立っていた。

 細マッチョという奴か。

 やはり相当鍛えている。

 バレエって芸術と聞いていたけど、もうこれってスポーツよね。

 プリマというのか主役らしき人が一人で舞台の真ん中に出てきて反り返るような姿勢をとった後、くるくると回り出した。

 つま先立ちで。

 ヤバい。

 確かに綺麗だけどあれ、肉体的に相当無理してないか?

 レイナは思わず立ち上がってリビングの開いた場所に立った。

 まずは片足で立ってみる。

 たちまちコケかけたので慌てて聖力で補正。

 テレビでは回転を止めたバレリーナが片足立ちのまま、もう一方の足をほとんど垂直に立てていた。

 もちろん男性のダンサーに支えられているけど。

 それでもあんな姿勢も出来るの!

 レイナがやったら股が裂けそう。

 でもちょっと試してみようかな。

 まずはつま先で立ってみる。

 問題無く出来た。

 左足を真っ直ぐ伸ばしたままで90度上げる。

 股が痛い(泣)。

 いくら聖力持ちでも肉体的に無理な姿勢は取れないのか。

 いや、やろうと思えば出来ないこともないだろうけど、多分股の関節が外れる。

 ひょっとしたら筋肉が裂けて聖力で治す羽目になるかも。

 私は何をむきになっているんだ。

 諦めてソファーに戻る。

 つま先と股がジンジンする。

 聖力でも出来ないことがあることが判ってむしろほっとした。

 まあ、やろうと思えば出来るだろうけど。

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