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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十四章 聖女、歓迎される
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279.So, let's talk about our future plans.

「さて」

 アルバートが咳払いした。

 昔の映画なんかだと、ここで誰かが葉巻とか取り出すところだけどそれは無かった。

 禁煙文化が広まっているらしい。

「First of all, I would like to express my gratitude.

 Examination results showed that Miss Gloria's illness had been completely cured.」

 アルバートがペラペラ話すと中年と初老の紳士方が驚愕した。

 グロリア様に勢い込んで話しかけ、淡々と返されている。

「グロリア様の病気が治ったそうです。

 そのことについてお礼を」

 なるほど。

 レイナへの感謝にかこつけて情報を伝えたという所か。

 ていうかグロリア様、やっぱり病気だったらしい。

 あの影は簡単に払えたけど。

 ここはニコニコしてればいいわよね。

 しばらく話した後、納得したらしい男たちが立ち上がってレイナに礼をとった。

 シンをチラ観したら頷かれたので鷹揚に頭を下げておく。

 続いて何か言ってきたのでレスリーを見ると澄ました表情だった。

 代わりにシンが「この方達にもやってあげて」と言うのでやってあげる。

 聖力でざっと検索(サーチ)したけど、特に重篤な部分はなかった。

 ちょっとした黒炭みたいな所はあるけど、あれって疲れているだけみたい。

「特に悪い所はない」

 レスリーに言ったら頷かれた。

「There doesn't seem to be anything particularly bad about it.」

「Ooh!」

「appreciate!」

 どうやら喜んでいるらしい。

 そんなにペラペラ話されても理解出来ないんだけど。

 まあいいか。

「So, let's talk about our future plans.」

 シンが言って会談が始まった。

 ここまででレイナの出番はおしまい。

 後はひたすら紅茶を飲んでいればいい。

 シンとグロリア様たちは活発に話している。

 といっても話すのはシンと新参の二人だけで、グロリア様とアルバートは審判(レフェリー)よろしく見守っているだけだ。

 つまりこの二人を説得というか納得させるための予備会談なんだろうな。

 退屈だ。

 何せ会話がまったく理解出来ない。

 映画ならまだ俳優に動きがあるからある程度は推測出来るけど、この場ではただみんな話しているだけだからどうしようもない。

 レスリーをみたら「押さえて」みたいな感触が返ってきた。

 しょうがないか。

 幸いにして苦行は30分くらいで終わった。

 紅茶を二回飲み干して、レスリーがその都度ポットからカップに注いでくれた。

 お茶請けはクッキーだったが食い尽くした。

 そしてようやくアルバートが宣言してくれた。

「That's about it. Thank you for your hard work.」

 ハードワークか。

 まったくだよ。

 みんなが立ち上がったので遅れてレイナも立つ。

 グロリア様を初めとする向こう側の人達は一人一人シンと握手していた。

 終わるとこっちに来るのだが、なぜか握手じゃなくて胸に右手を当てて礼をとってくる。

 グロリア様に至っては(カーテシー)をしてくれた。

 本物の英国貴婦人の(カーテシー)は堂に入ったものだった。

 レイナも釣られて(カーテシー)を取ろうとして失敗。

 ちょっと頭を下げただけになった。

 だがそれで良かったらしい。

 みんなが立ったまま見送る中、レスリーの案内で食堂を出る。

 ドアが閉まるとシンが言った。

「上出来。

 力関係がはっきりしたよ」

「そうなの?」

 何せ会話が全然理解出来なかったから五里霧中だ。

「レイナが始祖の再来だと認められたんだよ。

 グロリア様って癌の末期で全身に転移していてもう長くは無かったらしいんだけど、レイナが一発で完治させてしまった」

「さすがはレイナ様です」

 そうだったのか。

 確かにグロリア様って全身に影があったけど。

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