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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第二十二章 聖女、色々観て回る
269/350

257.主義は関係ないんだ


 レイナの覚えているところでは、今の世界(こっち)には基本的には民主主義というか資本主義の国しかない。

 共産主義を掲げている国もあるけど内容は違っている。

 なぜなのかというと純粋な共産主義では経済的に資本主義に太刀打ち出来ないから。

 思想的に言えば共産主義の方が理想だ。

 みんなで仲良く平等になりましょう、というのがコンセプトなのだけど、そうするとよく働いた人が割りを喰ってしまう。

 だって働いても働かなくても生活水準が同じだったらサボッた方が得だから。

 本気でその建前を守ろうとしたら、頑張ったり有能だったりする人ほどやってられなくなる。

 だから建前はそのままにして裏で色々やって、結果として上は政府から下は一般庶民まで腐敗というか個人主義になるという。

 それは経済的にはマイナスで、みんなでサボッたらそうなるよね。

 一方の民主主義ていうか資本主義だけど、これは個人が頑張れば頑張るほど儲かるというか、良い暮らしが出来て偉くなれるという制度らしい。

 とすればみんな頑張ることになって、その結果として経済的に共産主義国家を圧倒してしまった。

 だから今の世界には民主主義の国か、建前は共産主義でも実質資本主義の国しかなくなってしまった。

「そうなんですけれどね。

 でも民主主義と共産主義は別に対立していませんよ。

 両方ともメッキが剥げて衰退しています。

 資本主義の一人勝ちです」

 レスリーが言うには、結局人の欲望が一番強力だということで、主義にかかわらず最終的には資本主義に行き着くそうだ。

 だから王様や貴族がいても、そんなのいなくて民主主義だったとしても、勝つのはお金持ちだと。

「主義は関係ないんだ」

「まあ、建前ですね。

 民主主義では選挙でトップを選び、共産主義では党が支配するということで。

 でも党の幹部が清貧かというと全然そうじゃないみたいです」

 やはり人の欲が一番強いたみたい。

「英国はどうなの」

「民主封建制というか、身分制度が残っているのに政治形態としては民主主義です。

 さっき矛盾していると言ったのはそれです」

 英国は世界でも珍しい封建制度がそのまま残っている国だそうだ。

 他の国は王様や貴族がいても形骸化したり象徴になったりしていて、身分制度も崩壊しているという。

 かろうじて王家は残っていても実権はない。

 アラブはまた違うみたいだけど。

「日本もそうですよ。

 天皇陛下は国の象徴で、君主ですけれど国の支配権はありません」

「そうだったっけ」

 自分に関係ないことにはとことん無知なレイナだった。

「日本にも昔は貴族制度があったはずなんですけれどね。

 廃止されたと聞きました」

「ああ、歴史で習った。

 華族だったっけ」

「多分」

 ていうかレスリー、何でよその国についてそんなに詳しいんだ。

 スパイの域を超えてない?

「まあそれはいいとして。

 英国の場合、他の国では上院に当たる貴族院という議会があるんですが、議員は全部貴族で終身制です」

「そうなの!」

 とはいえ日本の議会制度にも疎いレイナにはよく判らなかった。

 そもそも上院って何?

「それを説明し始めたら1日では終わらないので。

 まあ議会制度のストッパーというかブレーキみたいなものでしょうか」

 益々判らない。

「つまり、議会がひとつしかないとそこで決まったらそのまま通ってしまいます。

 だから別の場所でもう一度議案を議論してチェックする、というような。

 あと、機能が分かれている場合もあります。

 アメリカなんか上院と下院とではやってる仕事が違いますから」

「もういい」

 こんな所で公民の勉強をしたいわけではない。

 それにしてもレスリーは詳しすぎる。

 高認にも公民の科目があったけど、そこまで詳しくは無かった。

 レスリーってひょっとしたら凄く頭がいいのでは。

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