表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十七章 聖女、異国に立つ
229/354

217.アフタヌーンティーとかは?

 どっちにしても食い放題したい物ではなかったので、適当に皿に取って席に戻る。

 ドリンクバーは一応は充実していた。

 コーヒーや紅茶、ジュースの類いもある。

「なんか不味そう」

「日本のと比べたらね」

 日本が恵まれすぎているということか。

 結局、トーストにバターとジャム、ハムに玉子という定型に落ち着いた。

「「いただきます」」

 シンと向かい合わせになって食べる。

「……」

「まあ、こんなもんでしょう」

 別にいいんだけど。

 いや、美味しくないわけでは無いのだ。

 不味いわけでもない。

 無味乾燥というか。

「……イギリスの食事は不味いって」

「味覚が違うのかもなあ」

 そういえば英国の名物があると誰かが言っていたっけ。

「アフタヌーンティーとかは?」

 聞いてみた。

 シンは渋い表情になった。

「うーん。

 あれ、僕も観光旅行で食べた事があるんだけどね」

 何と、シンは経験者だった。

「どうだった?」

「とにかく量が多かった。

 それでいてケーキもビスケットもサンドイッチも大雑把というか、美味い! というほどではなかった覚えがある」

 安いツアーだったからなあとぼやくシン。

「ていうか前前世のことだからよく覚えてないんだよね。

 行ったのは40過ぎてからだったし」

「そうか」

 それでも観光旅行に行ったことがあるのは凄い。

 でもシンの前前世って、つまり今のシンがミルガンテから戻って来たシンに乗っ取られない時間線のシンよね。

 結婚して子供作ったらしいから、色々と経験しているのは当たり前か。

 何となくイラッとするレイナだった。

「ごちそうさま」

 シンは早々と食べ終えてコーヒーのお代わりに立った。

 すると待ちかねたように背の高い男が寄ってきてレイナに話しかけてきた。

 痩せた白人でまだ若い。

「○○○、○○」

 英語のような気がするが全然判らない。

 高認にはヒアリングもあったのに(泣)。

「わかりません」

 敢えて日本語で答えて食事に戻る。

「○○○○○!

 ○○○」

 男はまったく構わずに寄ってくる。

 思わず聖力が発動しかける直前、シンが割って入った。

「The girl doesn't understand English. Let's ask her to stop.」

 男はイライラした顔つきでシンに何か言ったが、シンが構わずにスマホを取り出すと不意に身を翻して去った。

「やれやれ」

 スマホを仕舞ったシンがため息をつきながら腰を下ろす。

「何だったの?」

「いつものナンパでしょ。

 スカウトかも」

 そうなのか。

 日本のに比べると強引だったけど。

「何言ってるのか判らなかった」

「英語しゃべってたよ。

 随分崩れてたけど」

 そうなのか!

「だって全然理解出来なかったのに」

「レイナが学校で習ったり高認試験で聴いたのはちゃんとした文法と発音の英語だからね。

 実際の会話ってあんなもんだよ」

 シンがうんざりしたように言ってコーヒーを啜る。

 英語の本場で話が通じない。

 あのクソ勉強は何だったのか。

「気にしないで良いよ。

 みんなあんなものだから」

 シンが慰めてくれた。

 慰めになってないけど(泣)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ