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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十六章 聖女、空を飛ぶ
221/351

209.あと1時間くらいで着くって

 目を瞑って聞いているうちに眠ったらしい。

 再び気配を感じて目を開けるとキャビンアテンダントさんがブースを覗き込んでいた。

「お食事でございますが……いかがなさいますか」

「食べます」

 頷いたキャビンアテンダントさんが去る。

 ベッドを座席に戻してから気がついた。

 そういえばあのキャビンアテンダントさん、最初から日本語で話しかけてきたよね?

 レイナの容姿は露骨に欧州系、というよりは北欧系でアジア人には見えない。

 しかもこの飛行機は英国行きだ。

 普通なら英語で話しかけない?

 食事の用意を始めたキャビンアテンダントさんに聞いてみたら「お客様の国籍が日本でしたので」と言われた。

 そこまで把握してサービスしているのか!

 プロだなあ。

 ミルガンテなら考えられない。

 地球(こっち)はそれだけ高度な文明を築いているということか。

 キャビンアテンダントさんはまだ若いというかナオとおなじくらいの歳に見えた。

 レイナには女性の歳はよく判らないけど多分二十代。

 物心ついてからずっと頑張って勉強してきてこの職に就いたんだろうな。

 ラノベで読んだけど航空会社のキャビンアテンダントって人気職で、採用されるのはトップクラスの人だけらしい。

 それだけ努力して今の立場にいるという。

 ちょっと尊敬してしまうレイナだった。

 朝食? も和食を選んだ。

 アニメで観た伝統的な日本旅館で出るようなメニューだ。

 やっぱり美味しかった。

 そこで気づいたのだが、なんだか記憶にある味だと思ったら何のことはない、あのラウンジに用意してあったビッフェの食材と同じだ。

 シンが言っていたことってこれか。

 ラウンジでは機内食を食べられるだったっけ。

 しまったな。

 飛行機では出そうもない食材を食べれば良かった。

 次はそうしよう。

 食事を終えるとキャビンアテンダントさんが流れるように手早く片付けてくれる。

 惚れ惚れするような動作だ。

 レイナは実を言うと結構不器用で、特に指先を使う細かい動作が苦手だ。

 運動能力も低いし気配りも利かない。

 聖力がなければただのドジな女かもしれない。

 前にシンにぼやいたら「レイナには顔と身体とその髪があるじゃない」と言われてしまった。

 逆に言えばそれしかない?(泣)

 いやいや、聖力がある!

 座席をベッドに換えて横になってつらつら思う。

 ミルガンテでは聖力がすべてだったからレイナはコンプレックスを抱いたことはなかった。

 そもそもレイナ自身が何もしなくても侍女や目下働きの人たちが全部やってくれた。

 お皿を洗うような事すら日本に来て初めて体験したりして。

 そして地球(こっち)では聖力を封印している。

 それは最後の武器だ。

 だとするとレイナは不得意な分野でしか戦えない。

 何とかしたいけどどうにもならない。

「レイナ。

 あと1時間くらいで着くって」

 シンが仕切りを下げて声を掛けてきた。

「もう?」

「うん。

 何かあっという間だったよね。

 さすがはビジネスクラス。

 エコノミーと全然違う」

 シンが露骨に感心していた。

 あれだけ気持ちよさそうに眠っていたからね。

 アニメではよく判らなかったけど、何かで観た旅客機のエコノミークラスの席って本当に狭くてぎゅうぎゅう詰めだった。

 背もたれもちょっと傾くくらいで、あれではゆっくり眠ることなど出来そうに無い。

 シンはこれまでエコノミークラスしか乗ったことがないと言っていたから今回の旅ではそれは感激しただろうな。

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