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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十六章 聖女、空を飛ぶ
218/351

206.和食と洋食のどちらになさいますか?

 面白かったのは主役がむしろダサい男の話でミステリのようだった。

 あまり美女とかイケメンとか出てこないのに引き込まれた。

 いやイケメンは出てこないわけではないのだが。

 でもそういう人は悪役か、もしくはモブだった。

 なるほど。

 演劇も立派にやっているではないか。

 残りの一本はアニメで劇場版だ。

 どうやらテレビで放映された話の続きというか、エピソードのようだった。

 幸いにしてレイナはそのアニメを観ていたのでキャラの名前や役割を知っていて楽しめた。

 アニメの劇場版はキャラの情報や状況を説明せずに突然始まる。

 つまり、観る人はその辺の設定(データ)を知っているという前提なのだろう。

 視聴者層が限定されるけど、それでも利益が出るくらいヒットした作品じゃないと劇場版は作られないということか。

 まあいいけど。

 立て続けに3本映画を観て、さすがのレイナももういいかと思ってしまった。

 途端にお花畑に行きたくなってそそくさと立ち上がる。

 ふと気づいたけどずっとスニーカーを履いたままだった。

 作り付けの棚からスリッパを出して履き替える。

 これも贅沢な話で使い捨てのようだ。

 壁のフォルダから説明書を出して見てみると、ビジネスクラスには専用のトイレがあるらしかった。

 所々のブースから灯りが漏れている以外はほとんど真っ暗な中を歩く。

 聖力が働いて周囲の状況が「見える」から迷うことはない。

 トイレは狭かったけど機能的で便利に出来ていた。

 驚いたことにトイレなのに小さな洗面台と鏡がついていて歯ブラシや歯磨きも揃っていた。

 生理用品まであった。

 これはいい。

 あれこれ処理して、お土産に生理用品をひとつ貰う。

 自分の席に戻って椅子をベッドに変形させて横たわる。

 そういえばと思い出して棚から薄い毛布を取り出して被る。

 さすがにぶっ続けに映画を観て疲れたな、と思った次の瞬間に目が覚めた。

 キャビンアテンダントさんが控え目に覗き込んでいた。

 レイナの無意識警戒聖力に起こされたようだ。

「何か?」

「お食事のご用意が出来ましたが……よろしいでしょうか」

 もう? と思ってちらっとスマホを見たら結構時間がたっていた。

 てことは私、寝たのか。

「食べます」

「和食と洋食のどちらになさいますか?」

「和食で」

 レイナの普段の食事は洋食が多い。

 なぜかというとお皿の数が少なくて済むから。

 なのでここはひとつ。

「承知致しました」

 レイナが毛布を仕舞ってからベッドを変形させて椅子に戻すとキャビンアテンダントさんがテーブルを引き出す。

 小型のテーブルクロスが広げられ、その上に素早く食事が配膳された。

 略式だがディナー型式みたい。

 ネットでこういった食事を観たことがあったので慌てはしなかったが、何せビジネスクラスとはいえ航空機の客席のテーブルだ。

 狭い。

 食器がチマチマ並んでいて、しかも食べないと次の料理が来ない。

 もちろんレイナはミルガンテでこういう状況での対応も訓練されている。

 テーブルの上の食材が片付いた頃にキャビンアテンダントさんが来て食器を片付け、次のお皿が並べられる。

 流れるような熟練の技で、何度でも言うけどプロだ。

 気がつくと他のブースでも食事が始まっているようだった。

 隣のシンはまだ寝ている。

 よく眠れるとは思うけど、よほど疲れていたんだろうな。

 あまり頑張りすぎると聖力を消耗してヤバいんだけど。

 まあシンのことだから大丈夫か。

 最後にデザートとして抹茶と和菓子が出て食事(ディナー)が終わった。

 お皿が下げられるときに聞いてみた。

「あとどれくらいで着きますか?」

「6時間ほどでございます。

 現在は北極圏上空を飛行中です」

 あと半分近く残っているのか。

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