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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十五章 聖女、日本を離れる
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195.あの横に付けられないの?

 それからシンは前部座席のサリやナオと打ち合わせを始めたので、レイナはぼんやりと外を眺めていた。

 いつの間にかヴァンはトンネルの中を走っていた。

 延々と続いていて終わりが見えない。

 これほどのトンネルを作ってしまえる日本の、というよりは地球の科学力ってやっぱり凄い。

 そういえば仲間たちに薦められてスカイツリーや東京タワーに登ってみたけど凄かった。

 人が見えないくらいの高さから観る地上は箱庭のようだった。

 まさに神の視点だ。

 聖力なんかない方が文明は発達するんだろうな。

 不意にトンネルの壁が消えて、ヴァンは地上を走っていた。

 もう空は真っ暗。

 地上に無数に点いている灯りが眩しい。

「ここは?」

「もう飛行場の近くかな。

 滑走路って判る?」

「判る」

 なるほど。

 アニメや映画で観たけど飛行機は飛び上がったり着陸したりするために長い直線の道が必要だ。

 飛行機が地上を走ることを滑走というらしい。

 昼間はともかく夜になると暗くて見えないので滑走路に沿ってライトが並んでいる。

 それを横からみたらこうなるのか。

 夢中で観ているうちにヴァンは巨大な建物の横にある駐車場に入った。

 延々と走る。

 もの凄く広い。

 やっと停車して、すぐにサリとナオが降りて後部ドアからシンのトランクとレイナのキャリーバッグを降ろしてくれた。

 レイナも自分のバッグを抱えて車から降りる。

「それじゃ。

 後で連絡する」

「「行っていらっしゃいませ」」

 二人が頭を下げる。

 そしてレイナとシンはそれぞれの荷物を引っ張りながら建物に向かった。

「あの横に付けられないの?」

「駄目らしいよ。

 エントランス前の利用は公共交通機関だけだって」

 だからこんなところで降ろされて後は歩きになるのか。

 数百メートルはありそう。

「疲れた?」

「まさか」

 これでもレイナは毎晩運動して鍛えているし、多少の疲労などは聖力で回復出来る。

 ただキャリーケースを引っ張って歩くのが思ったよりしんどい。

 建物はなかなか近づいてこなかった。

 思ったより巨大だ。

 それはそうか。

 飛行場なんだよ。

 コミックで読んだけど滑走路なんか何キロも続いているらしいし。

 やっと空港の建物にたどり着いた頃にはさすがのレイナも息を弾ませていた。

 いや疲れたというよりはキャリーケースを引っ張るのが面倒で。

 このケース、長距離用じゃないな。

 シンは勝手知ったる様子で真っ直ぐに進み、エスカレーターで2階分上がるとそのまま壁際にずらっと伸びている受付カウンターのひとつに向かった。

 レイナからパスポートを受け取ってシンの物と一緒に係員に渡し、スマホに何かを表示して見せている。

 係員はスマホをスキャンしてからパスポートをそれぞれ機械に読み取らせた。

「お荷物は?」

「二人で2個で」

「かしこまりました」

 シンのトランクに続いてレイナのキャリーケースをカウンターの凹んだところに載せる。

 秤になっているらしく、液晶に重さが表示された。

「結構です」

「ではよろしく」

 引換証らしい紙がシンに渡される。

 トランクとキャリーケースがベルトコンベアで運ばれていくのを見送ってからシンとレイナは歩き出した。

「あれでいいの?」

「うん。

 僕たちの荷物は別の経路で飛行機の貨物室に積み込まれるんだよ。

 到着地で飛行機から出して並べてくれる。

 よその国だと時々荷物が行方不明になったりするらしいけど日本は大丈夫だ。

 と聞いている」

 無くなることもあるのか。

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