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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十四章 聖女、社会の真実を知る
187/350

176.自分から希望したんだよ?

 通話が切れる。

 レイナは唖然とした顔でリンに言った。

「これから面談してくれるって」

「!」

 さすがのリンも絶句した。

 まさか本当にそうなるとは思ってなかったらしい。

 リンって虚言症というか、時々身の程知らずの大きな事を公言するのよね。

 それで追い込まれてから慌てるという。

「シンさんがこの店に来るのですか?」

 レスリーが興味深そうに聞いてきた。

「そうみたい」

「なるほど。

 私は帰った方がいいでしょうか」

「いや、ここまで来たら立ち会って」

 ここでタイロン氏の組織の「目」であるレスリーを帰らせたら痛くもない腹をさぐられそうだ。

「それでは」

 素直に従うレスリー。

 一方のリンは大慌てだった。

 「どうしよう」とか呟いている。

「自分から希望したんだよ?」

「だって勢いで言っただけで心の準備が」

 知るか。

 自分の発言には責任を持ちましょう。

 リンはしばらく悩んでいたが、突然バッグを掴んでトイレに駆け込んだ。

 そんなにビビッたのか。

「お化粧を直しに行ったんだと思います」

 レスリーが肩を竦めた。

「リンってお化粧とかしてたんだ」

「今時の女子高生(JK)なら基本ですよ。

 私も多少はしてます」

「そうなの?」

 改めてレスリーを観てもすっぴんとしか思えない。

「ナチュラルメイクです。

 というよりはレイナ様が知らない方が変ですよ。

 てことはレイナ様ってお化粧してないんですか?」

「うん。

 したことない」

 絶句するレスリー。

 レイナの顔をまじまじと見つめた後、やにわにレイナの手を取って撫でる。

 ぞわっ。

 思わず手を引っこ抜いてあとすざってしまった。

「何を」

「凄い……今までも疑っていたけど、レイナ様って本当に人間ですか?」

 何を言っているのか。

 危なかった。

 もうちょっとで聖力が自動的に反撃するところだったぞ。

「いきなり撫でておいてそれはなくない?」

「すみません!

 でも本当に凄い。

 やっぱりレイナ様は始祖に連なる方なのですね!」

 意味不明なことを言うレイリー。

 興奮状態の意味が判らない。

「始祖って私に似ていたの?」

「お姿は文章でしか伝わっていないし、それも断片的なのですが、とにかくお綺麗で女神様のようだったと。

 お身体が内側から光り輝いていた、というような記述もあります」

 何じゃそりゃ。

「外見の記録もあるんだ」

「はい。

 小柄、細身で光り輝く長い髪が女神のようであったと」

 何かアニメのキャラのようだがレイナにも当てはまる。

 それにしても女神か。

 そんなの一神教のキリスト教にはいないから異教の神ね。

 何物なんだろう?

 レイナはミルガンテの大聖殿で教育を受けたが、その中には歴代の聖人や聖女についての記録もあった。

 聖女に任命されるくらいだから例外なく膨大な聖力を持ち、それを駆使して色々な事績を残しているのだが、外見の記録はほとんどない。

 これは聖人や聖女が常に法衣を纏い、顔もベールで隠していたからでもある。

 聖人についてはさすがにベールは被らないのだが、聖女に比べると数が少ないし特に秀でた容貌だったという記録はない。

 フツメンだったんだろうな。

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