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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十三章 聖女、歴史を学ぶ

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167.そんな所があるんだ

 レイナの釈然としない気分は車がホテルの地下駐車場に入るまで続いた。

 受付で駐車位置を確認して停め、4人揃ってエレベーターへ。

 一度エントランスに入り、サリがカウンターで何かやっている間、レイナはソファーに座って待った。

 さすがにこんな場所で声をかけてくる人はいなかった。

 それでか。

「うん、まあ。

 なまじのレストランだとスカウトさんが乱入してくるかもしれないからね。

 ホテルの個室なら大丈夫だし」

「でもそれならシンの部屋とかでも良かったのでは」

 聞いてみたら肩を竦められた。

「タイロン氏の組織の目があるかもしれないから。

 レイナは凄いんだぞ、と示そうと思って」

 どうだか。

 他にも何かありそうだが、まあいい。

 シンは策士だからこれも計画というか作戦の一環なんだろう。

 サリが部屋のキーを手に戻って来て、全員でエレベーターへ。

 かなり上の方まで上って降りると豪華な廊下だった。

 普通の客室ではなさそう。

「ここは?」

「VIP御用達の会議室というのかな。

 会食も出来るようになっている」

 思いがけずサリが答えてくれた。

 人目がない所ではお嬢様と使用人の演技は省くらしい。

「そんな所があるんだ」

「偉い人達って昔は料亭の奥まった部屋で密談とかしていたらしいんだが。

 それってむしろ目立つからな。

 玄関前にカメラマンが張り付いていたりして」

 なるほど。

「その点、こういったホテルならいくらでも誤魔化せるし、会談が夜中までかかってもどこかに帰る必要もない。

 都内の一流ホテルにはそういう需要がある」

 サリって何でそんなことを知っているんだろう。

 得体の知れない女だ。

 ふと観るとシンもナオも苦笑していた。

「こちらです」

 ナオが奥まった所にあるドアを開ける。

 中はそんなに広くないが重厚な内装の落ち着いた部屋だった。

 窓が広い。

 カーテンが開けてあるので都心の風景がよく見える。

 逆に外からもこっちが丸見えなのでは。

「この窓は偏光ガラスで出来ている。

 ちょっと観ただけでは内部は判らないよ」

 サリが説明した。

「ピンポイントで狙われたら判らないけどね。

 でもこうやって」

 シンが自らカーテンを閉めた。

「これで大丈夫だ。

 密談には最適ってことで」

 それでサリが砕けた口調なのか。

「本当言うとそこまでする必要はないんだけど」

 シンが頭を掻きながら席に着く。

「どうもタイロン氏の組織の手先が僕たちを監視してるみたいなんだよ。

 何かしてくる様子はないけど、日常生活を知られるのは面倒だからね。

 ちょっと演出してみた」

 シンってこういう芝居がかったことが実は好きだ。

 遊んでいるだけか。

 お金に余裕が出来るとすぐに遊びに走るって人間の(さが)かも。

「レイナも坐れ」

「うん」

「サリ、お嬢様に命令しちゃ駄目だって」

「ここだけだ」

 ナオはあくまで使用人の態度を崩さないが、後の二人は演技を止めていた。

 飄々としたサリにため息をついてからナオが部屋にあるバーカウンターに入ってお茶の準備にかかる。

 その間にサリはワゴンからお膳を持ってきて配膳する。

「ウェイターさんには入って来て欲しくないからね。

 悪いけどこれで」

「別に構わない」

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