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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十三章 聖女、歴史を学ぶ

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161.意味不明だけど

 色々考えたが、とりあえず出来ることから始めようということでやはり教科書に戻ることにした。

 中学の歴史の教科書は大雑把過ぎるので高校の教科書というか参考書をいくつか買ってきた。

 正規のものではないが、アンチョコといって補足的な説明が載っているらしい。

 ふと気づいて本屋に行って教科書コーナーで探してみたら歴史地図帳をみつけた。

 やはり高校用のものらしくてユーラシア大陸、というらしい欧州が含まれる土地で時代ごとにどのような国があったのかが記載されている。

 前に夜間中学で誰かが見せてくれたけど、あれって高校用のものだったのか。

 地図を見ながら西洋の歴史を辿っていくと、だんだん判ってきた。

 ていうか余計判らなくなった気もするけど。

 そもそも「国」という単位がはっきりしていない。

 ミルガンテでは当たり前に国王や貴族がいて、それが国だと思っていたが地球はそんなに単純ではないらしい。

 更に時代ごとに国境線が変わる。

 特に欧州は顕著で国の名前は頻繁に変わるし国境も自由に移動する。

 戦争して勝った方が負けた方の土地を手に入れるのか。

 そう思っていたらその他のケースも色々あった。

 特に面倒くさいのは支配者が変わると国の名前も変わることで、その「国」も概念があやふやだ。

 連合王国とか教国とか色々あるし、国の中に別の国があったりして。

 中でも一番訳が判らなかったのが「神聖ローマ帝国」だった。

 何度本を読んでも理解出来ないので思い切ってナオに電話して聞いてみた。

 忙しいだろうにすぐに出て丁寧に教えてくれた。

『神聖ローマ帝国ね。

 ずいぶん面倒くさい事を知りたがるのね』

「私もそう思うんだけど、何か色々調べていたら他のことと複雑に結びついていて無視できなくて」

『そうねえ。

 簡単に言うと神聖ローマ帝国は【神聖でもローマでも帝国でもない】国ね。確か18世紀フランスの哲学者のヴォルテールが言ったと思ったけど』

 輪を掛けて判らない。

「意味不明だけど」

『当時からそうだったらしいわよ。

 元々はローマ教会の教皇の権威を認めるというか、帰依している国王が支配する王国の連合体ということだったはず。

 だから帝国というよりはむしろ同盟かな』

「ごめん。

 余計判らなくなった」

『無理ないけど。

 まあ、神聖ローマ帝国自体は今のドイツとかオーストリアとかの土地にあって、英国とはあまり関係ないかな。

 そういうのがあった、とだけ覚えておけばいいと思う』

 ナオは頭がいい分、どうも説明をはしょる傾向がある。

 もっとも詳しく説明されても今のレイナでは混乱するだけだ。

「ええと、つまり無視していいと」

『そうは言わないけど本筋じゃないから。

 レイナは英国の中世について知りたいんでしょう?』

「うん」

『ならまずその前の時代、ええと西暦千年以前の世界を舞台にした映画とか観てみたら?

 歴史の流れはともかく人や国の様子と生活様式なんかは判るから』

 なるほど。

 確かに数字とか王様の名前とかを覚えるよりは面白そうだ。

「判った。

 ありがとう」

『どういたしまして。

 いつでもどうぞ』

 ナオは本気でレイナのサポーター役になったらしい。

 そういえばシンの会社の社員だと言っていたっけ。

 お給料、どれくらいなんだろう。

 まあいいか。

 改めて検索してみたらずらずら出てきた。

 レイナの部屋のテレビは有料の配信サービスと契約していて、アーカイヴというか昔の映画を自由に観られる。

 「アーサー王」をテーマにしていたり円卓の騎士が主役のプログラムはたくさんあった。

 レイナは頷くとコーヒーを煎れ、戸棚からお菓子を持ちだしてソファーによりかかるのであった。

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