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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十二章 聖女、卒業が決まる

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156.棄民ってこと?

 そこに繋がるのか。

 なるほど。

 酷い話だが頷けない事もない。

 正義の味方は悪がいなくなったら無用の長物だ。

 魔王を滅ぼしてしまった後の勇者みたいなもので、周りからみたら厄介者以外の何物でもなかろう。

「それで十字軍と」

「はい。

 お題目は何でもいいんです。

 国内の余剰戦力をどこかに派遣する。

 遠いところで全滅でもしてくれれば良し。

 万一どこかを征服してしまったら、その功績を認めてその場所の管理者にしてやって支配すればいい」

 酷い話だ。

「棄民ってこと?」

「ですね。

 でもこれ、大昔から世界中で行われてきたことなんですよ。

 ローマ帝国も東方に軍団を派遣していますし、この日本にもそういう例があります。

 豊臣秀吉の朝鮮征服というか派兵とか」

「何だっけそれ」

 リンが聞いてくれたがレイナも初耳だった。

 そもそも豊臣秀吉って誰だっけ?

 ていうかレスリー、いくら何でもよその国の事に詳しすぎない?

 そんなレイナの疑問をよそにレスリーはノリノリだった。

「織田信長の跡を継いだ豊臣秀吉が日本を統一したわけです。

 でもその頃って日本中に武士が溢れていたんですよ。

 だってついこの間まで戦争していたわけですから。

 そんなのほっといたらどっかに終結して反乱を起こすかもしれない。

 だから」

「韓入りした、と」

 いつのまにかリンが日本史の教科書を見ていた。

 中学用なのだがちゃんと載っているらしい。

「ふーん。

 当時の日本軍って朝鮮つまり今の韓国を半分くらい征服したわけか」

「ですね。

 でも明からの支援が来て膠着状態になりました。

 消耗戦で派遣軍が勝てるわけないですよね」

「海の向こうだもんね」

「それで結局撤退するんですが、引き上げの時に海戦で叩かれてボロボロです。

 結果として豊臣家は国内の有力な外様の戦力を削減出来たわけです」

 なるほど。

 地球って面白い。

 ミルガンテというかレイナの故郷にはそんなものはなかった。

 何をするにしても聖力で解決してしまうから、発展性がない。

「そういえば鎌倉時代に蒙古が日本に攻めてきましたが、あれも同じではないかという説があります」

 レスリーはまだまだ続ける。

「『元寇』ね」

「はい。

 モンゴルって今の中国どころか最終的には東ヨーロッパ辺りまで征服したんですが、日本にも攻めてきたんですよ。

 島国だし、征服しても面倒なだけな気がするんですが余った戦力を消耗させるためだと思えば」

「え?

 だってモンゴルってその後も征服戦争続けているよね?」

 リンが詳しいと思ったら教科書を読んでいるだけだった。

「余った戦力って」

「日本に攻めてきたのは正規のモンゴル軍じゃなかったという説が有力です」

 レスリーはびくともしなかつた。

「というと?」

「モンゴルって征服した国に命令してその国の軍隊を次の戦争に使っていたんですよ。

 これって別にモンゴルの特徴じゃ無くて世界中みんな一緒ですが」

「ああ、なるほど」

「日本に攻めてきたのはモンゴルに征服された当時のあの辺の国の軍隊が大半で、特に船の建造で国力を消耗させられたという話です。

 モンゴルはそうやって支配下の国の抵抗力を弱めていたと」

「救われない話ね」

 リンがため息をついた。

「じゃあ日本が無事だったのは」

「モンゴル、当時は改名して元という国でしたが、あまりやる気がなかったからではないかと。

 もっとも日本軍は頑強に抵抗していて征服までもっていくのが難しかったからだとされていますが」

 レスリーって歴史ヲタク、ええと歴女?

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