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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十一章 聖女、移動手段を確保する
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145.これからどうなると思う?

「英国に帰りたいとは思わなかったの?」

「帰ったら寄宿舎行きです。

 レイナ様は知らないでしょうけれど、欧州って先進国なんて言ってますが保守的もいいところで、特に未成年の女子は締め付けられてギチギチなんですよ。

 お店に行ってもアニメやコミックの品揃えはショボいし、カワイイ文化なんか非合法扱いで」

「そうなんだ」

「だから私は必死で勉強して」

 なるほど。

 幸いにしてレスリーの親は娘がグレもせず、それほど贅沢をすることもなく、傍目には優等生であることに満足しているらしい。

「日本に来たのは?」

「レイナ様の存在が知れて誰かを(そば)に送り込むことになったと聞かされました。

 でもレイナ様に近づくって難しかったみたいで」

「ああ、なるほど」

「変なのを送ってトラブルになったら目も当てられないし、そもそもその時点ではレイナ様がどれほど重要なのか判らなくて。

 なので、日本に慣れていて警戒されない私が任されたんです」

 いざという時は簡単に切り捨てられる人材として選ばれたんだな。

 もともと大した役割は期待されていなかったんだろう。

 レスリーとしても聖地(日本)に住めるチャンスだから飛びついたと。

「それで今に至ると」

「はい。

 楽しかったですけれど、それもそろそろ終わるみたいですね」

 本国からタイロン氏だけじゃなくて偉い人たちが来てしまったからね。

 少なくとも組織が動いたことには間違いない。

「これからどうなると思う?」

「判りません。

 それこそレイナ様次第です」

 そうかな。

 むしろシン次第という気もするけど。

 なかなか呼びに来ないので、レイナとレスリーはくだらない話をして時間を潰した。

 いつの間にか夜中になっていて、このままでは日が変わりそうだと思っていたらやっとサリが来た。

「すまん。

 待たせた」

「それは仕方がないけど」

「一応、会談は終わったんだが明日以降も続くことになった。

 一度引き上げるぞ」

 それはそうか。

 レイナは夜間中学の給食中に呼び出されたわけで、その時点でもう夜だ。

 その日のうちに全部終わるはずもない。

「帰るの?」

「ああ。

 明日の会議にはレイナは来なくてもいい。

 レスリーについては判らん」

 それだけ言って帰宅を促すサリ。

 レイナとしては何でサリやナオがシンの部下みたいになっているのか是非聞きたいところだが、さすがにこれからというのは無理がある。

 レイナ自身は暇だがサリたちは明日も用というか仕事? があるはずだし。

「判った」

 レスリーはタイロン氏に従うと言う事で、レイナはサリに連れられてホテルのエントランスに戻って待っていたらシンとナオが来た。

「お待たせ。

 帰ろうか」

「もういいの?」

「今日のところは。

 あの人達はこのホテルに泊まるって」

 さようで。

 サリとナオがシンにきっちりした姿勢で挨拶して去った。

 レイナの表情を見て肩を竦めるシン。

「説明すると遅くなるから後でね」

「判った」

 ホテルが呼んでくれた、というよりはエントランス前で客待ちしていたらしいタクシーで帰宅。

 自分の部屋に戻ってとりあえずシャワーを浴びてリビングに戻り、ぼんやりとテレビを観ながら考えてみたが何も出てこない。

 私、何しに行ったんだっけ。

 聖力でちょっと威圧しただけで終わってしまったけど。

 まあいいか。

 面倒くさくなってきたのでテレビを消して寝室に行くレイナだった。

 翌朝スマホを見てみたが特に連絡はなかった。

 もうレイナは用済みらしい。

 何かあったら言ってくるだろう。

 ならば。

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