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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第十一章 聖女、移動手段を確保する
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140.お客様にお似合いになるかと

 店員に聞いてみたら色々あるようだった。

 まだ若い店員はレイナに声を掛けられるとぼーっと突っ立ったまま無言だったので、奥から出てきた年配の女性店員が慌てて対応してくれた。

「どのようなタイプがご希望でしょうか」

 それでもやたらに畏まっている。

「よく判らないので。

 今まで使ったことがありません」

 ここは正直に答える。

 そもそも不思議だ。

 車輪が2つしかないのにどうして走れるのか。

 というよりは転倒しないでいられるのか。

 道で見かける自転車に乗った人たちは何でもないみたいに運転しているけど、あの車輪の上でバランスを取りながらペダルを漕ぐって神業に見える。

 どうみてもすぐにひっくり返りそうなのに。

 そういう不安を伝えたら女店員が頷いた。

「最初は誰も乗れませんけれど、練習すれば大丈夫です。

 普通は小学校に上がる前に何となく乗れるようになります」

 さいですか。

 夜間中学生のレイナは既に出遅れているわけか。

「難しい?」

「そうでもありませんよ。

 時々、年配の方で今まで乗る機会がなかったというような方もおられますが、すぐに乗れるようになります」

 大丈夫そうなので自転車を選ぶことにする。

「そういえば私はマンションに住んでいるのだけれど」

「大抵のマンションには駐輪場がありますし、スポーツ車でしたら自室に持ち込む方もいらっしゃいます」

 高価な自転車はすぐに盗まれかねないので、使う時以外は室内で保管する人もいるらしい。

 レイナとしては別に競輪とかするつもりはないので、とりあえず女性用の軽い自転車を購入することにした。

 いいなと思う自転車の値札を見たら十万円近くはする。

 電動機付きの自転車は初心者には難しいというので遠慮した。

「お店の前に並んでいたのは?」

「色々です。

 うちはリサイクルもやっていますので、中古車もありますよ」

 ただ、女店員が言うには中古車は綺麗に見えても経年劣化であちこちが傷んでいる場合も多く、故障しやすいこともあるそうだ。

 内部構造が傷ついていても外からは判らないから。

「なるほど」

「お客様の場合、初心者ということで頑丈で比較的安価なものがよろしいかと。

 最初のうちはあちこちぶつけたり転倒して傷ついたりする場合もありますので」

 良心的な店員で良かった。

 とはいえ向こうも商売なので、薦めてきたのは量産型のママチャリではなくて、ちょっとスタイリッシュでスマートな自転車だった。

「お客様にお似合いになるかと」

「そうかな」

 まあいい。

 ハンドルの前に籠がついた自転車はなかなかカッコ良かった。

 色は赤にする。

「ところで練習ってどうすれば」

「公道はお勧めしません。

 車が通らないような広場や人の居ない公園などがよろしいかと」

 ならば夜かな。

 クレカで自転車を購入する。

 薦められるままに鍵とライトを付けて貰って、更に防犯登録もした。

 カバーはマンション住みならいらないそうだ。

 最後にヘルメットも購入。

 買ったばかりの自転車を押してマンションまで戻り、とりあえずエントランス前に停めてコンシェルジェに聞いてみたらすぐに教えてくれた。

 このマンションにはちゃんとした駐輪場があって、居住者なら使用料無料だが登録制だそうだ。

「ただいま空いている箇所がございます」

「ではそこで」

 その場で契約して登録証を受け取る。

 シールになっていて自転車のどこかに貼るということだった。

 教えて貰えて良かった。

 なるほど。

 コンシェルジェがいるって無駄な気がしていたけど、何も知らないレイナみたいな人にとっては福音だ。

 早速シールを自転車に貼り付けてから駐輪場に行って設置。

 驚いた事に自転車を安定させるための器具があって、載せたら前輪が固定された。

 防犯対策も完璧か。

 どうやって外すのか判らないのでエントランスに引き返してコンシェルジェに聞いてみた。

「入り口にある精算機で登録ナンバーと暗証番号を入力していただければ外れます。

 5分たつと再度固定されますのでお気を付けください」

 さいですか。

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