115.そういう商売だからな
その後、レイナの衣装を変えて同じ事が繰り返された。
「飽きた」
「面倒くさい」
「まだ?」
レイナの意見は無視され続ける。
やっと一区切りついた頃には開始から4時間が経過していた。
「ここまでだな」
「まだ足りない気がするけど」
「残念ながら時間ギリギリだ。
衣装も返さないといけないから」
やっと終わった。
喉がカラカラだしお腹も空いた。
レイナ以外は全員、平気みたいだけど。
一体あの情熱は何?
服を着替える。
「衣装、どうするの?」
「この籠に入れておけばいいそうだ。
お店でクリーニングするらしい」
「至れり尽くせりね」
「そういう商売だからな」
いくら取られたんだろう。
怖くて聞けないレイナだった。
忘れよう。
受付で鍵を返して施設を出る。
いつの間にか夕方だった。
「さて。
これからどうする?」
「もう帰りたい」
レイナの意見が今日初めて尊重された。
「それでは、データは後で皆さんのスマホに送りますので」
「外に出すなよ」
「もちろんです」
カメラが入ったケースを肩から提げたレスリーが握りこぶしを作った。
「この画像は死守します」
「そこまでやらなくても」
「でもあのレイナはヤバかったね。
撮っていてCGみたいだった」
「そうだな。
周りの我々との対比が凄すぎた」
「やはりレイナ様です!」
好きに言ってろ。
みんなと別れて帰宅し、シャワーを浴びてそのまま寝てしまった。
夜中に空腹で目が覚めて、カップうどんでも食べようかと戸棚に向かう途中でスマホが点滅しているのに気がついた。
メッセージが乱舞していた。
興奮状態らしい。
データも来ていて、これは観たくないので封印する。
メッセージの中にシンのものも混じっていた。
電話したらすぐに出てくれた。
「何?」
『いや、コスプレしたんだって?』
なぜ知っている。
「してない」
『サリさんが画像データ送ってくれたんだけど。
ちょっと話さない?』
サリの奴。
何かヤバかったんだろうか。
「お腹が空いているんだけど」
『今から作るのは面倒だな。
どっかに食べに行こうか』
「いいよ」
と言うことで地味な服に着替えてマンションのエントランスで合流し、近くのステーキハウスに。
もう夜なので人目は少ない。
それでもなるべく目立たない隅の方のボックス席に向かい合って座る。
シンの奢りということでレイナはフィレステーキのディナーセットを頼んだ。
シンは相変わらずハンバーグと何かのセットらしい。
「好きなんだよハンバーグ」
別にいいけど。
サラダバーとドリンクバーもついていたのでレイナは盛大に喰った。
スープも飲む。
精神的に相当エネルギーを消耗していたみたいで美味しかった。
聖力を使えば一瞬で回復はするけど、やはり実際に食事する快感は別格だ。
シンは面白そうにレイナを観ながらハンバーグを平らげ、デザートのコーヒーになったところで口を開いた。
「ところで」
「私は悪くない。
リンたちが企んだ」
「いや、別に非難してるわけじゃないんだけど。
データ観たけど、凄いね。
プロに頼んだの?」




