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異世界の聖女は何をする?  作者: 笛伊豆
第六章 聖女、生活をエンジョイする
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91.今からそんなことでどうするの?

「それは嬉しいけど……なぜかと聞くまでもないわよね」

「うん。

 レイナを縛ろうとしたら何が起こるから判らないからね。

 とばっちりだけで僕なんか吹き飛びそうだし」

 やっぱり。

 ふざけているようでもシンはちゃんと考えている。

 というよりは基本方針を決めてブレない。

 ある意味、シンの人生はいかにしてレイナがらみの被害を少なくするかにかかっていると言って良い。

 ならばレイナが悩むことはない。

 そうして夏休みになり、みんなと遊ぶ機会が増えたがレイナの毎日は相変わらずだった。

 夜間中学に行かなくなっただけだ。

 それでもナオやサリは忙しいらしくて日中は用があるということで、リンやレスリーと3人で会うことが増えた。

 ちなみにリンもレスリーも呼べばいつでも集まってくれた。

 暇らしい。

 ファミレスに集合してランチを食べながら情報交換する。

「高認の出願、出した?」

「うん」

「試験は秋、いやもう冬か。

 憂鬱だ」

 リンが暗い。

「今からそんなことでどうするの?」

「そうは言ってもね。

 私の場合、引きこもり期間が長かったからなあ。

 普通の人が6年かけて勉強する事を1年とか2年とかでやれっていうのが無茶でしょう」

 それはそうだけど、そもそもリンって引きこもって何をやっていたんだろう。

「聞いて良い?」

「何を?」

「リンのこれまでの人生」

「私も興味があります」

 黙って毒々しい色の炭酸を啜っていたレスリーが唐突に割り込んできた。

「何よ二人とも。

 アンタたちだって謎じゃない」

「私は普通に学校に通っていました」

 レスリーがあっさり言った。

「小学校とか中学校とか?」

「英国には日本と違って色々なコースがあります。

 大抵の子供はパブリックスクールというか、無償の公立学校に通います。

 16歳まで義務教育なので」

 国によって違うのか。

「レスリーもそこに通っていたの?」

「私は私立学校(シニアスクール)ですね。

 というよりは籍だけ置いてあちこち飛び回ってました」

「ああ、そんなこと前に言ってたね。

 親について転校したとか?」

「正確に言うと英国以外では通信教育や家庭教師ですね。

 そういうコースもあります」

 お金持ちというか、外国で生活する場合は学校に行かないという方法もあるらしい。

「通学しなくてもいいんだ」

「教育機関に所属はしていますよ?

 留学扱いになっているだけで」

「それで良かったの?」

 リンが聞くとレスリーは晴れ晴れと笑った。

「最高です!

 私は集団生活が苦手なので」

 さいですか。

 まあ、ここにいる三人は全員、苦手だろうけど。

「英国というと寄宿学校が定番だと思っていた。

 ほら、魔法学校とか」

 リンが某有名な小説というか映画の話を持ち出してきた。

「そんなものはありません。

 でもそうですね。

 余裕があったり世間体を気にする家は子供を寄宿させるのは本当です。

 私の兄や姉はそっちです」

「レスリーは行かなかったの?」

「寄宿なんかしたらアニメが観られないじゃないですか」

 堂々と胸を張るレスリー。

「いや、それで親が納得するのかと」

「ですから勉強してAレベル試験に受かりました。

 なので今更どこかに寄宿する必要はないと」

「それって?」

「大学入学資格……みたいなものです。

 日本で言う高認ですね」

 やはりレスリーもただ者ではなかった。

「つまりレスリーはもう大学に入れると」

「受け入れてくれる大学があればですか。

 もっとも英国は伝統がものを言いますから、ハモンド家の娘だと言えば大抵の大学は」

 貴族、いや郷士だったっけ。

 なるほど。

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