87.高性能な人形
そして二日後にはラムネが家にやって来て。三人での共同生活が始まった。
「何でんなむくれてんだよ、俺らからしたら可愛い後輩じゃねーか」
「後輩だとしても居候なんてされたら腹が立ちますよ。ボスが預かればいいのに、何でよりにもよってうちなんですか」
妹とか弟とか、下の子が生まれると上の子がいじけてしまうという話を聞いたことがある。それに近いものだろうか。
しかし、やはり下の子なんかより手間がかからない。もともと魔導人形ということもあり、食事は不要だからだ。支給された固形マナで体組織を再構築するらしい。当然トイレも使わない。見た目こそ生身らしいが、こうしていると改めて人形であることを実感させられる。
研修実験として料理は教えてみたが、相当苦戦するらしかった。曰く、データとしてインストールされていないと。
しかし、何故か大豆料理だけはマスターした。で、不思議になって聞いてみたところ。
「大豆。いっぱい食べる。したら。おっぱい大きくなる。ネット。見た」
思考能力が中学生くらいということを理解した。思春期か。そのエロへの情熱をもう少し上手に振り分けられないのか。
「てか、ここには男しかいないんだけど?」
「男も。大きくなるらしい。アラザンに。おっぱい。つけてみたい」
気持ちは分からんでもない。顔は可愛いからなアイツ。
しかし、俺の意見としては。
「あのな、アラザンに関しちゃ、おっぱいがゼロなのがいいんだよ。胸板含めゼロだからこそ、あんなしょげてむくれた顔が見れるんだ。あの普段とのギャップってのがいいんだよ」
少しでも胸板ができたら、少しはあるんですよと意地を張ることになるだろう。そうしたら面白くない。意地を張る余地もないゼロだからこそあの弱々しい表情になり、そこにグッとくるのだ。
「パパも。変態。割と」
「好きに言えよ……俺の趣味嗜好、だいたいアイツに破壊されてるんだから……」
いじける俺の背をラムネはやさしく撫でてくれた。最近の魔導人形ってすごいな。慰め機能まで搭載されてんのか。




