79.最悪のトゥルーエンド
「ねえ、どうして、わたしを助けたの?」
一瞬だけ、俺の目を見た。困惑、混乱、疑問。そして若干の恐怖。当たり前だろう。普段戦っている相手が、鉄骨受け止めて無傷だなんて。
「戦闘が発生していなければ、状態復元はない。目の前で死なれれば流石に後味が悪い。それだけだっての」
「それだけなの?本当に?悪の帝国なのに?……なんか、さっきのガナッシュ、すごく焦ってるように見えたよ?」
疑問を抱ける、無知なる子供。そんな目で見られると、黙っているのが苦しくなってくる。
「ポムルは、帝国の奴らは嘘しか言わないから信じるなって言ってるけど……わたし、ガナッシュたちのお菓子屋さんのケーキ食べたよ、すごく美味しかった……ねえ、わたしたちって本当に敵同士なの?戦わなくちゃいけないの?」
純粋な気持ちと微かな自我が、確かに的を射ていた。
「……俺たちは戦争を望んでいないからな」
思わず、愚痴がこぼれてしまった。この戦いが終わるのは、絵に描いたようなハッピーエンドか、あるいは最悪のトゥルーエンドか。
「じゃ、お嬢さんも早く帰れよ。夜になったら危ねーからな」
「ちょっと待って!ガナッシュ!まだ話は……!」
踵を返し、すぐさま跳んで姿をくらます。
「ガナッシューッ!!」
未練がましい少女の声を、背中で聞きながら。




