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75.求婚のエプロン

 そして小一時間後。

「それでさ!俺が筋トレしてたら上に座りやがったんだよあの野郎!しかもミーティアの声で応援してきて……俺、頭おかしくなっちゃう……」

「だよねー、オレも初恋泥棒されたよ。小等院でほんと可愛くってさ。告白しようか迷ってたときに、トイレで一緒になったんだよ。あれを超えるショックってこの先の人生あるのかな」

 めっちゃ意気投合した。主にアラザンからの被害について。

 曰く、北の方は悪魔系が多いため性別という概念が薄いらしい。制服も自由度が高く、アラザンは中等院のときは女子の制服を着ていたらしい。おかげで被害者の数がすごいことになっていたと。

 妖精は精霊と悪魔のハーフらしいからな。種族によっては性別も任意でころころ変えるし、無性もざらにあるそうだ。

 アラザンはというと、高等院では学ランにプリーツスカート、リボンにスラックスと、あえて相手を混乱させるようなコーディネートだったらしい。

「帝立学院だし、変人は多かったけどね。その中でも恐ろしき麗人と悪名高かったよ」

 ケラケラと笑うザクロ。話してみると、意外と気さくな性格である。

「そういえば、さっきのエプロンはオーダーメイド?えらく君の体にぴったりだったけど」

「いや、あれはアラザンがある日急に買ってきたやつ。店頭で見かけて気に入ったんだってよ」

「へー……ちょっといいかい?」

 じ、とザクロは改めて俺をまじまじと見て。

「オレらの地方ではね、エプロンを贈るのは『私の食事を作ってください』って意味で、求婚の意味も含まれるんだよ?」

 にし、と悪戯じみた表情であった。

 確かに、そういう文化は聞いたことがある。でも、俺の地方だと仲の良い友人には割と贈り合うもので。実際、アラザンが買ってくるまでは大学時代に友人からもらったものを着ていた。

 そういえば、糸がところどころほつれかけてて。アラザンがそれを見てすぐ買ってきたんだっけか。

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