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74.イケメン登場

 もう少し冷やしたら切れるか、切ってアイスを挟んでもうまいよな。アラザンのアイス最高だもんな、なんて考えているうちに呼び鈴が鳴った。

 がちゃ、と玄関を開けると。これはまた見目麗しい紳士がいた。

 黒いスーツに赤いシャツ。外した第一ボタンから見える首筋はなんともセクシーで。柘榴色の髪と瞳が艶やかであった。

「やあ、君がガナッシュ君かな?」

 やはりイケメンにはイケボがセットなのか、と思えるほどの美声であった。って見惚れてる場合か、もてなししなければ。

「あっ、はいどうも。ザクロ様、ですよね?アラザンはまだ少しかかるんで、中でどうぞ」

 そしてリビングまで連れてきたが。あれ、上座と下座どっちがどっちだっけ。どうしよう分からん。

「そんなに緊張しないでくれたまえ。オレも今日はプライベートだから、ね」

 不意に指を指された。つられて自分の胸元を見て……エプロンを着たままであったことを思い出した。

「わっ、す、すみませんっ……!」

 客人の前でエプロン姿晒すとか恥ずかしすぎる。


「オレは好きだよ、ああいうエプロン」

「あまり言わないでください、恥ずかしいので……」

 うちの国は食を重きに置くため、エプロンも重要な意味を持つようになり。家でのエプロン姿を見られるというのはパンツを見られるのと同義である。

 外で仕事用として着るときは気にならないのだが。何だろう、パンツは恥ずかしいが海パンは平気な、あの感覚だろうか。

「あ、マドレーヌだ。いただいていいのかな?」

「ちょっと待っててください、皿持ってくるんで」


 それから、テーブルで向かい合って座ることになった。

「えっと、ザクロ様」

「敬語はいらないよ。君もオレも同い年だからね」

 そう言えば、アラザンと同級生って言ってたな。

「このマドレーヌ美味しいね。君の手作り?」

「ええ、まあ。教養もない身なんで、こんなものしか作れなくて……」

 焼き菓子の中でもかなり簡単なもの。小学生で習うレベルの菓子である。

「アラザンのを食べてると舌肥えるよね、分かるよ。でも、そこまで卑下しなくてもいいと思うよ?一口食べたら、よく作ってるんだなって分かる」

 吸血鬼。しかも太陽の下を歩けるような大貴族級らしい。一口食べて分かるとか半端ないなおい。

「でさ、アラザンのこっちでの様子とか、良かったら聞かせてくれるかい?」

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