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72.同居は続く

 それを聞いたアラザンが、急に俺の腕にしがみついてきた。

「私をこんなカラダにしておいて、今更そんなこと言うんですか」

「おいやめろそんな言い方。待ってキャラメリゼさんそんなゴミを見る目で俺を見ないで」

 というか、絶対狙ってやっているだろこれ。そういう性悪じゃねーかこの野郎は。

「俺のせいでお前が太ったってだけだろ。俺悪くないだろ」

「貴方のご飯がおいしいのが悪いんです」

「ありがとう責任転嫁すんなバカ」

 やかましいなこいつら、と外野三人の顔に書いてあった。

「もう貴方無しでの生活が想像できないんです。どうしてくれるんですか」

「知らねーよ」

 ダメ男が言いそうなことをここまで揃えるダメ男とは一体。

「責任取ってくださいよダーリン」

「デート中じゃないのにその呼び方やめろ恥ずかしい」

 外野三人は顔を見合わせつつ、ひそひそと、しかしこちらにも確実に聞こえる声量で。

「痴話喧嘩ってやつやねえ」

「そういうのは家でやれと、あれほど言うとるのに」

「それが若さというものだ、キャラメリゼ」

 何かが悪化してしまった気がしないでもない。


「炊事、洗濯、ゴミ出し以外何でもやりますから」

「ほぼやらねーじゃねーか!逆にそれ以外って何だよ!?」

「……買い出しとか?」

「キャベツ買ってこいって言ったらレタス買ってくるお前が言える立場か!?」

 最近でこそミスは少なくなってきたが。三分の一くらいの確率で何かしらやらかすのである。

「味見役なら任せてください」

「小学生かよ」

 味覚が鋭い分、足りない調味料をすぐ言い当ててくれるのでありがたいが。

「掃除もできますよ。少なくとも貴方よりは」

「喧嘩売る言い方しかできないのかお前」

 事実ではあるが言い方に腹が立つことってあると思う。

「そもそも私が今更一人暮らしができると思いますか?」

「胸を張るところじゃねーだろそこ……」

 しかし否定はできない。俺がいなかったらカップ麺食ってるし。これは前々から懸念していたことでもある。


「……では、二人はもうしばらく同居ということでいいか?」

「いいというか、そうしないとコイツがくたばるというか」

 こうして、やたら嬉しそうなアラザンを横目に。同居の続行が決定した。


 その後、俺とアラザンの会話が巷では『#紅白痴話喧嘩#』で拡散されていると知ったのは、言わなくてもいい話。

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