64.刺激が強すぎる
「外にいたわけですし。洗ったほうがいいかもしれませんね……ガナッシュもまだ帰ってきませんし。先に風呂に入ってしまいましょうか」
そうして、風呂場に連行された。逃げようとしたが魔法で捕縛された。優秀だなこの野郎。
いや同性だし。別に問題もないのだが。なんだろうこの気まずさ。
「……スライムの肌って、泡立ちませんね……」
いきなり顔面にボディソープをぶっかけられる経験って珍しいと思う。目がないから痛くはないが。この体どうやって知覚してるんだろう。
手桶に放り込まれ雑に洗われ、ろくに泡立たないまま湯で洗い流される。もうちょっと配慮しろよ。ペットとか飼ったこと無いのか……いやあるわけないな。ガリ勉の貴族様だもんな。
しかし問題なのは……洗い流す間、ずっとアラザンの膝に載せられていること。手桶の中じゃ流しづらいのは理解できるけど……。
「貴方、本当に大人しいですね」
もはや微動だにできないのである。
湯の温度。触れ合う肌の質感と肉の柔らかさ。湯気越しに見える、濡れた白い生足。刺激が強すぎる、これ以上はほんとに性癖壊れちゃう……。頼む誰かこの体に瞼を搭載してくれ。
そしてさっきから感じる、強烈な甘い匂い。これはおそらく石鹸ではなく、アラザンのマナの匂い。スライムの特殊感覚器官なのだろう。この機能誰か消してくれ。至近距離でこんないい匂いされたら頭おかしくなっちゃうから。
風呂からあがり、ようやく解放された。疲れた……何故かめっちゃ疲れた……。アラザンを襲ったスライムの気持ちが分かった気がする。すげえおいしそうな匂いだもんな。しかしまあ、俺はそんな高性能でもないだろうし、たぶんマナの過剰量流し込まれたらすぐにフローズンアイスにされるんだろうな。




