63.拾われスライム
気がつくと、バスタオルに包まれていた。よく知っている洗剤の香り。あたたかい空気感。寝ぼけたまま周囲を見れば、見慣れたリビングの光景があった。
そのまま起き上がろうとして……自分の足がうまく動かないことに気がついた。というか、足の感覚が無かった。焦って体を起こすと、勢いあまって床に転げ落ちた。
不思議と痛みはなく、何気なく横のガラスを見ると。スライムが写っていた。
半透明な赤い水袋。目や口もない、ぷるぷるとしたボディ。びっくりして叫びそうになったが、声帯も無いらしく、のたうち回ることしかできない。
え、これがあの神の権能……?スライムって魔獣枠なの?いや、先祖返りとかしなかったのは幸いだが、これはこれで問題が……。
「ああ、気が付きましたか」
顔をのぞかせたのは、案の定アラザンであった。
アラザンは例の事件以来、スライムにトラウマがある。どうしよう殺されるかも、ちゃんと蘇生されるかなこれ……なんて焦ったが。意外にも表情は穏やかであった。
「ガナッシュのマナ反応が一瞬消えたので、心配でちょっと見に行ったんですよ」
そしたら、謎のスライムが道路に転がっていた、と。
「ガナッシュ作の子、ですよね?マナも感じますし。赤いスライムなんて聞いたことがありませんが……」
本人だと伝えたいが、伝えようがない。このぽよよんボディで何をどう伝えるのか。
「明日はクロミツも本国から戻って来るはずですし。詳しい検査をするまでは私がお世話してあげますよ」
実に上から目線な態度で、よしよしと撫でられた。コイツが俺よりずっと高身長なのすげえ違和感ある。
俺を膝に載せて、テレビを見始めるアラザン。なんか良い匂いする。あと腿がすげえ柔らかい。また贅肉増えたんじゃないかコイツ。
テレビを見ている間も、ずっと撫でられていた。表情を見るに、無意識であるらしい。ぷにぷに揉まれぎゅうっと抱きしめられ、されるがまま。めっちゃ堪能してるじゃねーかコイツ……。




