アラザン小話9.黙秘
「……厄介なのに好かれやすいですね、あの馬鹿……」
副作用は消えたが、いかんせんマナ切れで動けない。
スマホを取り出し、連絡先の一番上をタップする。
「あー、もしもしすみません。迎えに来てもらえますか」
『帰りが遅いと思ったらそれかよ!?またデスゲームにでも巻き込まれたのか!?』
怒っている声も、どうしてか聞いていて安心してしまう。
「いえ、久しぶりにはしゃいでたら疲れてしまって」
『小学生かよ!?』
「もう一歩も動けません。助けてください。クロワッサンあげますから」
『それ人に頼み事する態度じゃねーだろおい!』
しかしなんだかんだ言って迎えに来てくれる甘い奴。
「立てるか?」
「立てません。抱っこしてください」
「はいはい……ああ、道中の電車で見たぞ。怪獣倒したんだってな」
おんぶでもいいだろうに、私の我儘でお姫様抱っこしてくれた。そういうところですよコノヤロー。
「カッコよかったでしょう?」
「……まあ、それなりに」
言わせんな、と顔に書いてあるのが見ていて滑稽であった。
……オーバーマナチャージの苦情はクロミツだけに伝え。魔王に関しては一切誰にも言わなかった。
我ながら隠し事が好きだな、と感じたのは内緒の話である。




