60.彼女ができない問題
そろそろ春が来るだろう、なんて話を北風の中で話す今日このごろ。卒業やらのお祝いでのホールケーキの予約が増え、嬉しくも少々忙しく感じる日々。
そんなある日の会議でのことである。
「では、他に何か意見したいことはあるか?」
そう問われ、静かに挙手をした。
「彼女ができない」
「それ今言う必要があるのか……?」
これは、徐々に深刻化しつつある問題であった。
「ボスは妻子持ちじゃん!?でも俺、現時点で女の子の友達ほぼゼロだよ!?」
学生時代の友人の結婚式に招待された。ご飯がちょっとしょっぱかったのを覚えている。
ザラメは本国に彼氏がいる。ロリババアはロリババアなので論外。本日欠席のクロミツもなんか苦手意識がある。
「俺だって女の子とイチャイチャしてみたいんだよ!分かるこの気持ち!?」
「全然分からないですね」
ほらコイツモテるから冷たい。
「というか、彼女ができないって。私というものがありながら何を言っているんですか」
「いや、お前は偽装カノジョというか。何か違うっていうか」
「彼女ができないなら私が娶りますが」
「お前は最終手段だから!それまで俺も頑張りたいんだよ!」
婚期って実際どのくらいなんだろう。あと五年くらい……?あれ、思ったより短いぞおい。
「なら、彼女の条件を言ってください。好きそうな子を本国のツテで探してあげますから」
これは果たして大丈夫なのか、上から目線で若干腹立つなという気持ちはあるが。コイツの大貴族としての顔の広さを考えれば可能性はあるかもしれない。
「まず、俺より小さい子がいい。デカいと怖いから」
「貴方よりデカい女の子そうそういませんが」
「美人系より可愛い系だな。あざといのがいい」
「急に難易度上がりましたね」
他にあれこれ言うとしたら。
「髪がさらさらで、撫でてて気持ち良い子だと嬉しいな」
「さらさら、となると私の髪質ですか?」
「そうそう、あ、すっごい手触りいい……」
アラザンの頭を撫でつつ考えてみる。
「料理はそこまでできなくてもいいぜ。俺ができるし」
「そうですね。貴方のご飯おいしいですからね」
と、ここまできて、アラザンがふと顔を上げ。
「私、けっこう条件に合っているのでは?」




