54.根本的に相容れない
そんな折、ぐりゅるー、と魔王さんのお腹から情けない音がした。
「ああ、最近食べてなくて。このあいだ、百足君……ヴェノ君のところの蟲をつまみ食いしてたら怒られちゃってね」
ヴェノ……悪の組織の集会で最初に会った、あの色っぽいお姉さんか。蟲、とは使い魔か配下の部類だろうか。
「丸呑みすると、喉の奥で暴れるんだよ。体の中からあちこち食い破られて、痛くて本当に気持ち良いんだ。そうそう、卵を飲んだときは……」
うっとりとした目。恍惚と、恋でもしているかのように紅潮した頬。舌なめずりする仕草は、危うい狂気をたたえていた。
「ああでも、死ねなかったなあ」
その一瞬だけ、その顔に寂しさのようなものが見えた気がした。
「あっ、でも心配しないで。餓死は自殺判定になるから、食べなくてもけっこう平気なんだ」
言っている意味はよく分からないが、けろりとした表情がまた恐ろしかった。
「キミはどう?魔王を殺してみたいって思わない?」
「……思いませんよ。今のところ、ただの命の恩人ですから」
「それもそっかあ、残念」
クロミツは捉えどころがなくて怖かった。でも、この人ははっきりと捉えどころがあって怖い。
単純に、生きていたくないのだろう、この魔王は。
だからこそ、根本的に俺と相容れない。
そう、これは俺なりの喧嘩の売り方だ。
「お礼がしたいんで、夕食、一緒にどうですか?」
pixivの方で、『コンビに質問!』のテンプレをお借りしました。二人の過去をチラッと覗くような?性格の違いが出る設定資料みたいで楽しかったので、見ていただければ幸いです。




