46.やはりまだ子供
それで、夕食も終わり。話の流れで、仕事の写真を見せることになった。
で、人間界のスイーツの写真だけ見せるつもりだったのだが。うっかりアラザンとのツーショットを見せてしまった。
「あらあらまあまあ……!」
「え、お兄これ何?何この美少女?ねえ説明して?」
嬉しそうな母。天変地異でも見るかのようなココア。
「それはその……仕事でスイーツ屋回るからよ。カップル限定品欲しさでコイツが女装し始めて……」
そして、かくかくしかじか説明した。
「で、恋人っぽいことするかーって、フォトスポットで調子乗って撮ったんだよな」
「一生女が寄り付かないわね、これは」
「ハイスペックでエリートでビジュも良いとか、一瞬で戦意喪失するよね……」
ドン引きしてるショコラ姉。憐れむようなチョコ姉。
俺がモテないのはアラザンが原因である説出てきた。なんてこった。
「明らかに外堀埋めにきてるわよ。というかむしろ埋めた上に塀まで建てようとしてるわよこの野郎」
なにそれすごく怖い。
「ココアはね、体格差カプ大好きだよ!女装とかすごくおいしいよ!ねえお兄は攻めと受けどっちが好ンモガっ!?」
「汝、口開くべからず」
ココアとカカオが謎の攻防を繰り広げている。うん、意味は分からないが、カカオの様子からしてきっとろくでないのだろう。考えないようにする。
「そういえば、始祖様への奉納って終わったのか?」
「是なり。我、舞いたり」
「カカオもすっかり立派になって、頼もしいわよねえ。わたしはもう腰が辛くてできないもの」
母がはつらつと働きまくっていた頃を思い出すと、ほんの少し苦い気持ちが胸に滲んだ。
「じゃあ、薙刀磨くの俺がやるわ。暇だし」
「そうねえ、お願いするわ」
こうしているうちに日は過ぎていき。あっという間に帰る日になった。
「じゃ、行ってきます」
大仰な送辞もなく。ちょっと仕事に出るくらいの雰囲気。これが最後の別れでもなく、会わなくて寂しいということもない。
でも、玄関を出て、外の空気を吸って、しんみりと感じてしまうのは。やはり俺がまだ子供であるからなのだろう。




