44.家族構成
そうして、二十六日。転移魔法で駅まで飛び、バスを乗り換えて故郷の村まで帰ってきた。
年末とあって、がやがやと賑やかで。立ち並ぶ小さな木造の家々に、葉っぱやら木の実やらでできた玄関飾りが吊るされていた。
「おー、グリさんところの倅か!元気してたかー?」
「ねーねー向こうのお菓子あるー?ちょーだいよお」
「ようもんてきたのう!酒飲める年じゃろ、飲め飲め!」
久しぶりでも、村のみんなは変わってなくて、どこか安心した。
挨拶もそこそこに、家に帰る。玄関を開けると同時に鼻につく、古臭い木と生活感の混じった匂いは、やはり懐かしかった。
「あらまあガナッシュ!今帰ったの?返ってくるならもっと早く言いなさいったら!」
母・マロン。よく喋る。ややうるさい。世話焼きの遺伝子はおそらくここから引き継いでいる。
「おう、帰ったか」
父・タンユエン。無口。未だに俺より腕力がある恐ろしい男。
「ちょっとー、人間界のお菓子、ちゃんとあるんでしょうね?」
長女・ショコラ。俺をこき使う。女子の割にムキムキでゴツくて怖い。
「まあまあ姉さん。まずはおかえりって言うものだよ」
次女・チョコ。一家の中で一番穏やかで常識的。ふっくらとした体型は、帝国の理想の女性像とすら言える。
「お兄ー!おかえりー!ねえねえお兄のオムライス食べたーい!」
三女・ココア。双子の姉。大学一年生。愛嬌はあるし可愛げもあるが、要求はショコラ姉より多く、めんどくさい。
「久しく会わねど、かく変わらず。いと嬉し」
四女・カカオ。双子の妹。親族の中では一番勉強ができる。しかしまあ、勉強ができる奴の宿命なのか、ちょっと変人ではある。




