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42.現地人の謎

 年末。近頃はスーパーも商店街もクリスマスやら正月やらで混沌とした様相を見せていた。


「宗教嫌いなお国柄のくせに、知らない宗教の祭りでこう派手に楽しめるのも謎だな……」

「楽しくてお金が動くのなら、何らおかしくないですよ」

 俺たちはというと、相変わらず偽デート。クリスマス限定のスイーツを食べ歩いていた。


 ついでに、帰省のための土産でも買うか、とアーケードの中をゆったりと歩いていく。

「ああカナちゃん!このあいだは手伝ってくれてありがとうねえ。これ、さっき入荷してねえ、持っていきなさい」

 八百屋のおばあちゃんからみかんをもらった。助かる。

「おっ、カナくんちょうどいいところに!この飾り、あそこに引っ掛けけてくれるかい?何しろ手が届かなくてね」

 肉屋のおじさんを手伝ったら、コロッケをもらえた。美味しい。

「ガナッシュにーちゃん!お菓子ちょーだい!」

 集まる子供たちに一粒ずつラムネをやると、また嬉しそうに走り去っていく。子供は風の子ってこういう意味なのだろうか。


 その後も行く先々で色んな人に会って、別れてを繰り返した。

「慕われていますね」

「まあ、こっちにもよく買い物に来るからな」

 アラザンは寒いのが嫌だとかで、スーパーの買い出しにしかついてこないのである。コイツ、氷の妖精だった気がするのだが。

「というか、カナちゃんってなんですか」

「あー、それは……。現地人と交流するとき、偽名の方がいいかもしれないってボスに言われたからよ。名前聞かれたとき、咄嗟にカナッシュって答えたんだ」

 で、いつの間にか省略されてカナちゃんになった。我ながら、響きが可愛すぎるのでちょっと恥ずかしい。

「カナちゃん」

「呼ぶな恥ずかしい」

「今は貴方のカノジョなんですから、愛称くらいいいでしょう?」

 白いコートに灰色のもこもことしたマフラー。チクショウやっぱり可愛くて腹立つ。

「可愛いあだ名じゃないですか。まあ私の可愛さには到底及びませんが」

「お前ほんと一言余計だな」

 それから、ケーキ屋も視察。年始に開業予定の、我らが店のためである。

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