31.ベトベトする……
最近はより暑くなってきて。帰り道、コンビニなどでアイスを買うことが多くなっていた。
「アイスくらい、私が作れますが。浮気ですか」
「言い方考えろよお前」
何故かアラザンがふてくされてしまった。そんなに嫌だったのだろうか。氷属性だし、氷菓子が得意なのか?
「お前のアイスもうまいけどよ。時々ジャンキーというか、既製品も食いたくなるんだよ」
「……そうですか」
ぷい、とそっぽ向いてしまった。怒ってんのか分かり辛いんだよなこういう反応のときって。
「ま、お前も食ってみろよ。ミルクアイスキャンディーっていうの?けっこううまいんだぜ」
むくれながらも甘味調査のために食ってくれる。こういうことしてるから太るんだけどな。
しかし、炎竜の俺がアイスを食うとなると。溶けるのが早くて仕方ない。微量に漏れ出るマナがそうさせるのだろうか。
「……」
アイスを咥え、垂れそうになって慌てる俺を、何とも言えない表情でアラザンが睨んでくるのがちょっと怖い。
そしてまた別の日。面白いアイスを見つけたので買ってきた。
「袋型アイスだってよ」
卵のような、ゆるい楕円のゴム袋に入ったバニラアイス。
曰く、先端を噛みちぎって食べるのだとか。大きさの種類があり、その表記がAカップからEカップと、なんとも卑猥なネーミングに心くすぐられた。
「また変なの買ってきましたね」
「もちろんDカップ買ってきたぜ」
「そういうこと言ってるからカノジョできないんですよ貴方」
地味に心を抉られたが。気を取り直して開封し、指示通りゴムの先端にかじりつく。
しかし、これが想像以上に硬く、思うように開かない。
ハサミを持ってくるのも面倒で、そのまま犬歯を使った。すると、ドピュっ、とかなりの勢いで中身が噴き出た。
「えっ、ちょっ……!?」
俺の体温がいけなかったのか、握力がまずかったのか。白い液が顔にぶちまけられることになった。
慌てて咥えこんで、一気に飲み下して。勢いが収まってようやく、味が分かる感覚だった。
「ベトベトする……」
味はすごく良かったが。いかんせん大変な状態になってしまった。
もったいなくて、手首にまで垂れた液を舐め取っていると。アラザンがすごい形相で睨んでいた。
こ、これは絶対怒っているときの顔だ。
「全く……さっさと顔を洗ってきてください。見るにたえません」
それだけ言って、ツカツカと歩いていき。自室にこもってしまった。
そ、そんなに怒らなくても……。




