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27.急に代打とか聞いてない

 今日は定例会議の日。月に一回、悪の組織の頭たちが集まって、それぞれの状況を報告するのである。

 いつもはボスが出席するわけだが。今日は息子の結婚式のため、アラザンを代理として立てる。

 そのはずだったのだが。

「すみません。本国……私の家の領地内で封印していた、エンシェントゴーレムが復活したらしく。急遽討伐隊を組むことになりました」

 曰く、アラザンはその指揮を執る義務があるのだと。

 会議まであと一時間。欠席となれば、組織の沽券に関わる。

「非常に心苦しいですが……ガナッシュ、行ってもらえますか」


 一人だけ非番だった俺が、いきなり代打をやることになった。

 注意書きは受け取った。これに従っていれば、大丈夫なはず。……たぶん。

 海千山千のボスやアラザンと違って、俺は庶民なのである。腹の探り合いなんて持ちかけられたら、確実に負ける。

 頼む、変な奴隣に座りませんように……。

「制服よし、露出は……目をつぶってくれるか?あ、角のピアス!えーっと……」

 引き出しから取り出し、いつも以上に慎重に着ける。

「頑張れよ、俺……!」


 緊張しつつ、マップをたどって行った先にあったのは、公民館らしき建物。色褪せつつある白い壁。入口に分かりやすく立てられた看板には、『悪の組織定例会会場→』の文字。うん、親切だけど。雰囲気がなぁ……。


「あら、可愛らしい子ね。新人さんかしら?」

 背後から、声をかけられた。

 振り返った先にいたのは、妖艶な女性。たおやかな肢体。すらりとしたラインの黒いドレス。大きなつばの白い帽子に、口元は扇子で隠して。暗い紫の髪に、赤眼。ザ・悪女といった出で立ちであった。

「あ、えっと……悪の定例会の会場って、ここで合ってます……か?」

「ええ。わたくしも出席するの。同行しても構わないかしら?」

「は、はい……よろしくお願いします」

 いきなりセクシーなお姉さんに絡まれた。どうしよう。

 いや、見た目が悪女だからって悪女とは限らない。大丈夫、アラザンのメモ通りやり抜けば大丈夫なはずだ、たぶん……。

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