21.太ったんじゃ
しかしその後。アラザンの夏服が問題だった。
黒いノースリーブ。青のショートパンツ。濃いグレーのニーソに腰から垂れた半透明のオーバースカート。首からは、帝国の記章をあしらったペンダント。
端的に言って、すごく可愛い制服だった。
「すみません。送り返していいですか」
不服である、と顔に書いてあった。
「ウチは可愛いと思うんやけどなぁ」
「送り返したとして、春用のローブじゃ暑くないかの?熱中症とか大丈夫なのかえ?」
「平気です。自分で冷気出せますから」
いあや便利すぎるだろ氷属性。エアコンいらねえじゃねーか。
「……衣装部に苦情を入れておく」
ミニスカ送りつけてきた奴と同一犯なのだろうか。
しかし、よく似合っている。肌の白さがニーソの色に映え、太腿の露出は控えめながらも魅力的だ。オーバースカートも薄く、動くたびにひらひらと揺れ、チラリズムを引き起こしている。
「ガーターベルトがあったら完璧だったのにな」
「貴方の性癖は聞いていないのですが」
失礼な。みんな好きだろニーソとガーターベルト。
「お前、女装してたのにその制服はダメなのかよ」
「露出は好ましくないですよ。私は可愛いのであってセクシーではないので」
いや分からん。何だそのこだわり。
と、そこで、キャラメリゼが少し首をかしげた。
「アラザン、お主ちょいと太ったかの?」
ぴた、とアラザンの動きが止まった。
「……何のことでしょう」
「いや何、初めて会ったとき随分細っこいと思ったからの。最近肉付きが良くなってきて安心したんじゃよ」
そうなのだろうか、と見てみても。正直分からん。毎日見てたからか。
言われてみると、腿と尻がふっくらというか、むっちり張りが出てきたような。
「おっきくなることはええことやよ、アラザンちゃん〜」
「あ、あまり撫でないでください。恥ずかしいです……」
ザラメによしよしされて、色んな羞恥で顔を赤くしているアラザン。ファンの女子には見向きもしないが、ザラメには照れるのである。ザラメの優しいお姉さんの雰囲気がそうさせるのだろうか。




