17.デスゲームに巻き込まれたらしい
今日は俺が非番で、アラザンが出勤。戦闘任務だと言っていたので、帰りに卵を買ってくるよう言っておいた。卵はようやく間違わず買えるようになったのだ。
しかし、帰りが遅い。戦闘は二時間前に終わっているはずなのだが。残業しているのか?いや、今夜はアイツのリクエストでのハンバーグだ。定時であがらないわけがない。
まさか、余計な買い物でもしてるんじゃ。
と、そこにスマホの着信音が鳴った。ちょうどアラザンであった。
「おい、七時には帰って来いってあれほど……」
『すみません。デスゲームに巻き込まれました』
ちょっと間をおいた。
「なんて?」
『デスゲームの参加者として拐われました』
コイツとうとう頭おかしくなったのかと思ったが。あながち嘘ではないかもしれない。
異界とつながりやすい土地なのだ。享楽目的で人間を玩具に遊びに来る奴もいる。それも、驚異的な状態復元性ゆえであるが……。悪の組織だって、二つや三つではない。
『帰りにスタンガンで襲われまして。あ、卵は無事です。守りましたから』
余裕綽々じゃねーか。
「お前雷耐性持ってたよな?スタンガンごときにやられるほどヤワじゃねーよな?」
卵の心配をするような余裕がある。というかそのまま相手を冷凍して帰ってくることもできたはず。
なのに、そうしなかった。ということはつまり。
「お前、絶対エンジョイしてるだろ」
『あはははは、まさかまさか』
めちゃくちゃ白々しい。声だけで顔が目に浮かぶ。