表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/224

15.俺のための?

 人間界に住み始めてから数ヶ月。少し汗ばむくらいの気温になってきた今日このごろ。


「このあいだの調査から、試作してみました。味はほぼ同じはずです」

 非番。今日は台所を占拠すると宣告を受けていた。

 家事スキルの欠落を見ていると、ちゃんとお菓子作りの能力が備わっているのか心配だったが。それは杞憂に終わった。

 食卓に座らされ、差し出されたのは、小洒落たガラス容器に盛られたティラミスだった。

「え?これ食っていいの?」

「むしろ食べてもらわないとこちらが困るのですが」

 味見役だなんて、役得だなあと思いつつ。ご丁寧に冷やされたスプーンで一口頬張った。

「……!」

 このあいだのも美味しかったが、今日のは特に美味しかった。何が違ったのかは分からないが。無心に一口、もう一口と食べてしまった。

 そして、空になった容器を差し出し。

「おかわりをくれ」

「定食屋ではないのですが?」

 そう言いつつも、バットからまた切り出して盛ってくれた。

「いっそバット分丸ごと食いたいんだけど」

「ダメです。ボスたちにも試食してもらうんですから」

 そういえばそうだった。危ない。危うくキャラメリゼの鉄槌を食らうところだった。

「てか、これ味変えた?なんか前よりうまい気がする」

「コーヒーの風味を少し弱めてみました。お子様舌な貴方はそっちの方が良いでしょう」

 お子様とは失礼な、と思ったが。ちょっと待てよ。

「それってつまり……俺のために、わざわざレシピ調整したってこと、か……?」

 自分でも言っていて信じられない内容だった。

 だって、アラザンだぞ?あのアラザンだぞ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ