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１２．すごく美味しい

　まあ、朝から色々あったが。任務は問題なく進んでいた。

「チョコレート……この味からすると、カカオは七十五パーセントといったところでしょうか」

　カフェ、ケーキ屋を巡り、甘味を食す。

　アラザンは分析担当。良家の者として、お菓子作りにはかなり精通しているらしい。

　そして俺は残りを食べる担当。料理はできるが、違いがよく分からない庶民なのである。

　ただこれだけは分かる。すごく美味しい。

　ティラミス。ひんやりとしたムースが、口の中でほどけるような。二層のクリームがそれぞれ絡み合って、またふわりと広がって。そこに、ココアのほんの少しの苦味。コーヒーの刺激感。甘ったるいだけじゃない、緩急のある風味がたまらん。

「ティラミスめっちゃ美味しい」

「そうですね。参考になります」

　朝はあんな調子だったが。機嫌直してくれたようで良かった。