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93.クソ酔っ払い

 実はアラザンはけっこう酒好きだ。職人の技を感じるのが好きなのだという。貴族の子ということもあり、酒も水も変わらないくらいに飲めるらしいが。弱体化系の魔法を使えば酔うことができるらしい。

 しかし、決まって俺とは別の日に飲む。しかも、俺が寝た後で。ザクロ曰く、警戒心が強いのと自身の酒癖の悪さを自覚しているからだそうだ。


 で、その疑い深い大貴族様が、安物のチューハイを片手にインスタント麺を貪っている。

「何れすかもう!他の子ばっかり目がいって!私というものがありながら!私をずーっとずーっとほっといて!さいてー!」

「めんどくさい彼女みたいなこと言うなあお前」

 まあ、実際に彼女ができたこともないのだが。こんな理不尽に怒られなければならないのだろうか。

「煙草野郎ともラムネともハグしてイチャついて……!浮気れす刺されたいんれすか!?」

「ハグはともかくイチャついてはないだろ」

 煙草野郎はシノのことだろうか。シノのことも嫌いなのかコイツ。いや、俺だって苦手意識があるが。というか刺すって何?怖いんだけど?

「ガナッシュのエッチ!雄っぱい!」

「とりあえず褒められてないってことは分かるぞ」

 アラザンもアラザンでラムネの影響を受けているらしい。何で俺のことエッチだとか言うんだ。眼科か脳外科行ったほうがいいんじゃないか?

「他の子に取られるくらいなら、檻に入れて首輪つけて鎖で繋いだほうが……」

「うん待って?お前いつの間にヤンデレ属性入った?」

 食事はどうなるのだろう。三食お菓子はキツいんだが。

 ああ、味噌汁は最近作れるようになったなコイツ。でもやっぱり栄養価が心配になってくる。

「ガナッシュのエッチっちー♪きゃー♪」

「楽しそうで何よりだよクソ酔っ払い」

 愉快というかキャラ崩壊が面白すぎるので動画で撮り始めてみる。後でザクロに送ってやろう。

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