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91.スライムのトラウマ

 暑すぎて戦闘禁止令が発令されて。アイスでも買いに行こうかと思ったが、暑すぎてやっぱりやめようかな、とかやってる今日このごろ。

 家での事務処理も終わり、暇になったので。スライムでも作ってみることにした。


 帝国でのスライムとはモンスターのことを指すが、意外にも小学生の魔法技術でも作れるものだったりする。

 材料は小麦粉と水と、少量のマナ。術式は簡略式でオーケー。材料の全部を鍋にぶち込んで、手で混ぜながら術式を組み立てていけば完成である。

 白っぽく丸いぷにぷに。これを冷蔵庫で冷やせばひんやり水袋になる。そういえば小学生のとき、自由研究で自家用のビニールプールで巨大なの作ったこともあったな。ショコラ姉がマナ込めすぎて爆発しそうになったりして、すごく楽しかった。

 アラザンは、俺の変身の件以来、スライム恐怖症があるが。まあ帰って来る前に流しておけば大丈夫だろ。たぶん。


 そして数時間後。冷蔵庫から鍋を取り出す。冷やしたためかほどよく固まっており、手からひんやりと心地よさが広がる。

「あー、たまらん……」

 抱き上げて頬に触れさせると、すうっと体温が吸い込まれていく。操作術式も省略した式なので動く心配もなくひたすら愛でることができるのがいい。

 水と小麦粉の割合を絶妙に調節すればおっぱいの感触になる、なんて噂もあり。中学生の頃、友達と一緒にスライムを作りまくったこともあった。でも全員剣術科とか体術科だったから、すぐにマナ切れになってぶっ倒れたんだよな。懐かしい。

 アラザンだったら作り方を知っているのだろうか。あ、でも聞くのはやめておこう。たぶんゴミを見るような目で睨まれる。

「……まあ、ちょっとくらい大丈夫だろ」

 ぐっ、と指で押すとそのまま沈み込んだ。頭に指を突っ込まれ色々とグチャグチャにされたあの感覚が一瞬フラッシュバックした。俺も俺でトラウマになってんな、スライム……。

 しかし、冷たさの誘惑に負け、そのまま両手を沈めてしまう。そうそう、これが夏の恒例の遊び。とろりとした水の感触に冷たさが相まって中毒的な気持ちよさがあるのだ。

 逆にあっためるのもアリで、実家だと冬の時期は湯たんぽとしてよく使っていた。あと、実は人肌に温めると童貞の性癖を歪ませることもあるとかで……。

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