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2:血狂いのオリヴィエ

ハンク家は災厄を退けた唯一の人間。

ハンク家は魔女を狩る一族。

英雄騎士と言われたのは遥か昔の事。


最初こそ大義名分はあったが、徐々に私利私欲にまみれ堕ちていったのが私の一族。

そんな一族の真実を知った母オリヴィエは。

一族が積み重ねた因果が巡り、呪われ、狂った。

正気と狂気の狭間を彷徨いながら、禍根を絶つ改革をもたらすために反対勢力を皆殺しにした。

故に、血狂いのオリヴィエと人々は恐れる。


母は、最期の正気を絞り出すようにけじめを取って、私に殺された。


『あなたへ降りかかる呪いは、この母がどうにかする』

その願いはかなえられた。

私を狂気に引きずり込む因果の呪いは、母の命で相殺されて、私の正気は保たれた。


私は母の亡骸を抱きしめて、ただ泣くしかできなかった。

本当はもっと、母と一緒にいたかったのに。

「ごめんなさい……ごめんなさい」

悔恨の涙に濡れる私の肩に、そっと手が置かれる。

『かわいそうな子。でも、もう大丈夫』

私が振り返ると、そこには母がいた。

痛ましかった狂気の面影はない。ただただ美しくて穏やかな表情で、私を抱き寄せた。


『お前は私に狂えばいい』


正気の全てを現世に絞り出して死んだ母は、死後は狂気に堕ちた。

彼女の魂は、全てを破壊する災厄の魔女になった。

かつての狂える女王のように。

魂だけの彼女は器を求めている。

私の生前は、執拗に私の身体を乗っ取ろうとした。

しかし、私が死んで肉体を失った今。

狂気に堕ちた母は新たな器を求めている。


ただ。

私は死後、狂気に堕ちなかった。


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