エピローグ
それから1年後。私達2人は正式に結婚した。書類にサインをするだけではあったが、国同士のの結びつきをアピールするためにも、ソンソムニア王国と魔王領、それぞれの国で結婚式を挙げた。
ソンソムニア王国での結婚式では、お父様やリリア、ストラウドが来てくれて盛大なパーティーを開いてくれた。
スウェン王子は裁判にかけられた後、姿を見ていなかったが、ソンソムニア王国へ帰ってきた後、未開拓の辺境の地を開拓しつつ、農民と同じ生活をして細々と暮らしているらしい。
「スザンヌ‥‥‥。何をしているんだ?」
「何って‥‥‥。味見?」
私は結婚式当日、自分の披露宴で提供される料理の味見をしに厨房へ来ていた。
「今日は、主役なんだぞ‥‥‥。分かっているのか? コリアンナが探し回っていたぞ」
「やばっ‥‥‥。スミマセン」
「全く‥‥‥。今から、これだからな。先が思いやられる」
「あと800年あるんですよ?」
「??」
「あと800年かけて、世界中の食べ物や美味しい料理を食べる事に決めました」
「魔王領はどうするんだ?」
「転移魔法を使うので、問題ありません」
「‥‥‥」
「美味しいご飯を、魔王領に広めるんです」
「‥‥‥」
「一日の活力は、朝食から!!」
「そうか‥‥‥。頑張ってくれ」
「はい、ありがとうございます」
「行くぞ」
私はステファン様の腕を掴むと、転移魔法で一緒に披露宴会場へと戻ったのだった。
*****
披露宴会場には、お父様以外にもリリアや妖精王ルテラ、ストラウドが来ていた。そこまで大勢呼んだ訳でもなかったが、昔からの知り合いや貴族の方々に挨拶をされて、少し疲れてしまう。
「大丈夫か?」
ステファン様は、時々現れては私に水を手渡して水分補給を促してくれていた。いつも、肝心な時に、こまめに動いてくれるステファン様は、あまり魔王には見えなかった。
「ステファン様、いつもありがとう」
「急に、どうしたんだ?」
「ううん‥‥‥愛をかんじるなぁ。と思って」
「‥‥‥恥ずかしい奴め」
ステファン様は顔を赤らめ、そっぽを向いていた。
「ステファン様、想いはキチンと口にしないと伝わりませんよ」
「‥‥‥そうだな」
「ステファン様、愛してます」
私がステファン様に向き直り、両手を広げるとステファン様は、もの凄く小さい声で言った。
「‥‥‥俺も、愛してる」
「えっ‥‥‥。聞こえなかった。もう1回言ってください」
「‥‥‥」
ステファン様は、さりげなく私の頬へキスをすると、私の頭を撫でて披露宴会場へと戻っていったのだった。
★★★次ページからは、番外編「聖女リリアとストラウド」になっております★★★




