温故知新
「待って、リリア」
「‥‥‥何?」
「何って、帰るの?」
「当たり前じゃない」
「国に知っている人は、もういないのでしょう?」
「そうよ」
「どうするの?」
「とりあえず、一度国へ帰って‥‥‥。それから、考えるわ。父と母の墓参りにも行きたいし」
そうだった。リリアは闘って目が覚めたら、400年後だったのだ。前世の記憶があるとはいえ、一度は自分の国へ帰りたいだろう。
「馬車を用意させるわ。それで隣国へ向かって‥‥‥。妖精王、リリアをよろしくね。何かあれば、すぐに戻ってきてください」
『分かりました‥‥‥。ありがとう、スザンヌ』
「スザンヌ~!!」
「アース!! また変なタイミングで出てくるわね」
私がそう言うと、使い魔のアースは頬を膨らませていた。頬を膨らました顔はリスみたいに膨らんでいる。
「変って、ひどいにゃ~」
「‥‥‥どうかしたの?」
「バッグの中のお菓子が無くなったので、お知らせにゃ~」
「ええっ‥‥‥。あれ、全部食べたの?」
マジックバッグの中にあるお菓子は、1年分はあったはずだ。アースはマジックバッグの中で、ずっとお菓子を食べてはゴロゴロしていたのだろうか‥‥‥。
「あっ‥‥‥。昔のご主人さま~」
「‥‥‥え?」
「アース、あなたまだ生きてたのね」
「使い魔の寿命は、あって無いようなモノなのにゃ」
アースは聖女リリアの方へ駆けていき、聖女リリアは旧友に会ったかの様に顔を綻ばしていた。
「えええええ?!」
「‥‥‥あなたの使い魔なの?」
「違うわ、ストラウド‥‥‥。ええと、魔王ステファンの弟の‥‥‥」
「ああ、あのピンク髪の‥‥‥。おかしいわね。聖剣の力を持ってないと、アースとは契約できないのよ」
「それ、二次創作の話?」
「そうよ‥‥‥。でも、そこは変わらないと思うんだけど?」
「もしかして‥‥‥」
「もしかして?」
「やっぱり、今は話せないわ‥‥‥」




