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証拠品

『いい加減になさい。聖剣を持たずにどうやって戦うのです?』


「でも、このままではストラウドが‥‥‥」


『彼は、魔王ステファンと同じ遺伝子を受け継いでます。そんな簡単にやられないでしょう。それに、貴方はまだ子供‥‥‥。中身は大人でも、戦うのは大人になってからでも遅くはないでしょう』


 ドォォォォォォン──────


 もの凄い爆発音が聞こえて振り返ると、そこには黒い煙の中から現れたストラウドがいた。


「‥‥‥お帰り」


「まあ、あんなもんだろう‥‥‥。2人だったし、厄災よりは全然マシ」


 ストラウドの無事な姿を見て、私は身体の力が一気に抜けるのを感じていた。どうやら、いつの間にか緊張していたらしい。


「そう‥‥‥。助けてくれてありがとう」


「いやっ‥‥‥。べつにぃ、いくら何でも目の前で何かあったら気まずいだろう?」


 ストラウドは照れているのか、横を向いて赤くなっていた。こういう反応はステファン様と、あまり似ていないな‥‥‥。と思った。


「‥‥‥もしかして、ケガしてるの? 大丈夫?」


「いや、こんなのかすり傷だ」


 私は彼の右足に血がついているのに驚きつつも、それがほとんど返り血だということに気がついてしまった。


「ケガ‥‥‥。小さな傷なら癒やせるから、動かないで」


 聖女リリアは、妖精王の腕から抜け出すとストラウドの右足に手を当てて治療していた。聖なる光は眩く、キラキラと白い光を放っていた。


「おぅ‥‥‥。サンキュ」


「追っては、どうなったの?」


「1人は逃げたけど、もう1人は自爆した。なんか身体に仕込まれてたみたいだな‥‥‥。足を掴まれて焦ったよ」


「無事でよかったわ」


「これ‥‥‥。身体につけてたネックレス。足を掴まれた時に、何か証拠になるかもしれないと思って引きちぎってきた」


「ええっ‥‥‥。ネックレス?」


「ウラ見てみ‥‥‥。紋章が彫ってあるだろ?」


「これは、ソンソムニア王国の‥‥‥」


「それが証拠だ」


「中を見ても?」


「構わないと思うけど‥‥‥。あまりオススメはしない」


 私は手渡されたペンダントを見ると、中に何かあるのに気がついて蓋を開けた。ロケットペンダントの作りになっていたそれは、開くと女性の写真が出てきた。若い女性が微笑んでいる写真‥‥‥。きっと恋人か家族だったに違いない。


 自爆した人がソンソムニア王国の人だった事や、家族がいたのにこんな事をさせてしまっている事態に、公爵令嬢として恥じなければならない‥‥‥。そう思ったが、その前に目から涙が溢れ出ていた。


「だから、言ったろ‥‥‥。見るのはオススメしないって」


「ストラウド分かりづらいぞ‥‥‥。いろんな意味で」


「あー、はいはい。俺が悪いんですね。悪うございました」


 ストラウドは私の側へ来ると、ボロボロの格好で私を抱きしめてくれた。





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