暗殺者、再び
「何を話しているのか、俺にはサッパリだけど‥‥‥。話がズレてるんじゃねぇのか?」
「ストラウド‥‥‥。ごめんなさいね。別の話で盛り上がってしまったわ」
「それで?」
「結局、誰に命を狙われているのかは分からないの」
「あのさ‥‥‥。俺が言うのもなんだけど、普通に考えて王様じゃないのか?」
「え?」
「だってあの王子様‥‥‥。スウェン王子だったか? 王子の話を聞く限り、あいつを操れて、呪いにもかからず、国の危険分子をこっそり排除するのって‥‥‥。どう考えても王様か、その側近があやしいんじゃないか?」
「「!!」」
「‥‥‥そうね」
『聖女リリア‥‥‥。影が近づいております。ここは有効の地の外。お気をつけください』
「追ってか‥‥‥」
黒い影らしき者が、縦横無尽に駆け巡るのを私はただ呆然と口を開けて見ていた。1人か2人か‥‥‥。ただ動きが速くて、私には10人位に見えていた。これも相手の術なのだろうか。
キィィィィン──────
剣と剣が交わる音がして、いつの間にか私はストラウドに担がれていた。
「はぁ‥‥‥。口開けて、空見て固まってるとか勘弁してくれよ」
「ごっ、ごめっ‥‥‥」
ストラウドに担がれながら、謝りたくても謝れずにいると、隣には併走している妖精王ルテラがいた。妖精王は、聖女リリアを抱っこしている。
「ルテラ‥‥‥。聖剣を出してもいい?」
『‥‥‥挑戦するのは構いませんが、たぶん無理だと思いますよ』
「やってみる」
「「‥‥‥」」
「聖女リリアの名の下に蘇れ、聖剣!!」
「‥‥‥」
『何も起きませんでしたね』
「うっそぉ‥‥‥」
その間にも、影は確実に追いかけてきていて私達は、確実に追い詰められていた。妖精王の案内で、出来るだけ平坦な道を選んで有効の地へと向かう。
「見えた!! さっきのキャンプ地」
私が叫ぶと、ストラウドは跳躍してキャンプ地へと一気に飛んだ。私を地面に置くと、トンボ返りで戻っていく。
「ストラウド!!」
「‥‥‥何?」
「気をつけて」
「言われなくても」
ストラウドは、それだけ言うと去って行った。どうして、もっと気の利いた事を言えなかったんだろうと後悔する。
*****
魔族は強いから大丈夫だとは思うけれど、時間が経つにつれて、だんだん心配になってきた。隣では、聖女リリアが戦うといって妖精王の腕の中でゴネていた。




