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大精霊の樹

「それじゃ、リリアは‥‥‥」


『私の元で眠っている‥‥‥』


「はい?」


『見た方が早かろう‥‥‥。ついて参れ』


 私は丸太に置いていたマジックバッグを手に取ると、妖精王の後に続いた。アースは、いつの間にかバッグの中に戻ったのか、姿はなかった。


 10分ほど歩くと、木々が少し開けた場所に出て、目の前には大きな大樹が鎮座していた。


『この中に聖女リリアは眠っている』


 妖精王に促されて木のウロから幹の中を覗くと、そこには緑色の光に包まれて眠っている少女がいた。


「まさか‥‥‥」


『そのまさかじゃ‥‥‥。彼女は力を使い果たし400年もの間、眠っている』


「でも、ステファン様は家宝だと言って聖剣を持っていたわ」


「えっ、聖剣って?」


 私はストラウドに、レコルトを倒したとき聖剣を使っていたことを説明した。


『あの当時、聖女リリアの他に聖剣を扱える者はいなかった。だが、彼女の命を維持するには聖剣を維持する必要があったのじゃ』


「じゃあ、ステファン様が聖剣を持っているのは‥‥‥」


『近くにいた適応する器が、ステファンしかおらんかったのじゃ。魔王に聖剣などどうかと思ったが、あやつはすんなり受け入れ、それもまた驚きだった』


「適応する器ということは、何か条件があるんですね?」


『そうじゃ‥‥‥。一つは魔力量。もう一つは信念じゃ』


「赤ん坊に、信念なんてあったのか?」


『わからぬ‥‥‥。だが適合してしまったのじゃ。魔王ステファンの両親は厄災の被害を自分達の責任だと感じていたようだ。私が話をすると、あっさりと受け入れた‥‥‥。だが、信念の部分に問題があったのか、聖剣の吸収はあと一歩のところで上手くいかなかった。だから私は両親に許可を取って、魔王の一部を小箱に封印したのじゃ』


「封印?!」


『封印が必要だったのは分からぬ。そもそも一部を取り出さなければなし得なかったのは、魔族だったからなのか赤子だったからなのか‥‥‥』


「ちょっと待ってください。あなたは、兄上の一部を封印したのですか?」


『少女を助けるためには、仕方が無かったのじゃ。許せ』


 私は途方もない話になってきて混乱していた。ストラウドも顎に手を当てて何かを考え込んでいるようだった。




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