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妖精王

 柵を乗り越え、こちらへやって来た美女はワンピースの様な円筒状の衣服を着ており、蔦が身体に巻きついていた。身体が全体的に薄い緑色に鈍く光っているため、何色の服を着ているのかは分からなかった。


「スザンヌ、動くなよ‥‥‥。有効の地に入れば、こちらの結界内だから有利になる」


「分かったわ」


 緑色に光る美女は柵を難なく乗り越えると、こちらへやって来た。


「あなたは、まさか‥‥‥」


「知り合いか?」


「いいえ‥‥‥。でも、何かで読んだことがあると思うの。書物でしか知らないけど‥‥‥。そのお姿、もしかして『妖精王』でしょうか?」


『さよう‥‥‥。我が名は妖精王。食事中にすまぬ。どうしても伝えたいことがあって、こちらへ参った』


 妖精王の言葉は直接頭に響いてきた。口を開いていないから、『テレパシー』というものだろう‥‥‥。そう思った。


「どういうことだ? 何故このようなところに妖精王がいる?」


『それは‥‥‥。聖剣に関わる者が、現れたからじゃ』


「聖剣?」


『さよう‥‥‥。はじめから説明させてもらおうか』


「え? ああ‥‥‥」


『今から400年前、類を見ない『厄災』が現れ、魔界に多大な被害を及ぼしたのは知っているか?』


「いや‥‥‥。たぶん、俺が生まれる前の話だと思う‥‥‥。知らないよ」


『400年前、かつて魔族を滅ぼしかけた厄災は魔王領にいたほとんどの魔族を倒し、家畜を食い荒らした。魔獣をも食らって国外へ逃げると、太刀打ち出来ない人族は我先にと逃げまどった』


「そんな‥‥‥。ステファン様はどうしていたのです?」


『その当時、ステファンはまだ赤子だった。王族は厄災に気がつくのに遅れて、民のほとんどを失ったのじゃ』


「そんな‥‥‥」


「それで? 厄災は、その後どうなったんだ?」


『隣国の王女が‥‥‥。わずか5才で立ち上がった。聖剣を持ってな』


「は?」


『聖剣を扱える人間は決まっているのじゃ。だから、第三王女が戦うより他なかった』


 私はストラウドから借りた地図を思い出していた。確か隣国には『ファミリア国』があったはず。


「その隣国の王女って‥‥‥」


『聖女リリアじゃ‥‥‥』


「「えええっ?!」」





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