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相談

『お前には俺の魔力が半分あるし、寿命だって800年延びたんだ───』


 私は魔王ステファンの言葉を反芻していた。ええと‥‥‥。婚約破棄に向かって動いてるんじゃなかったっけ?


 私は、婚約破棄に応じると言われた事を思い出していた‥‥‥。魔王だもの。約束は守ってくれるはず。


 それとは別に、魔王に少し惹かれている自分自身に気がついていた‥‥‥。ステファン様の事は一緒に暮らす内に、いつの間にか自分よりも大切な存在だと思うようになっていた。


 でも公爵令嬢が魔王に嫁入りなんて聞いたことないし、お父様の立場も危うくなってしまうかもしれない。何故、命を狙われなければならないのかは分からないが、ステファン様に危害が及ぶのだけは避けたい‥‥‥。リリアは今、何処にいるのかしら? ステファン様を助けて自国に戻るには、リリアを探し出すのが1番手っ取り早いのではないかしら‥‥‥。そんな風に、思い始めていた。


 リリアを探し出して、魔王を倒さないように仕向ける───思い立ったが吉日。


 私は、ストラウドに相談するために、こっそりと自分の部屋を抜け出したのだった。



*****



 ストラウドへ会うために、人事部へ向かった。アシュタイト国へ戻っていなければ、まだ彼は人事部へいるはずだ。


 ここ数日で、魔王城の複雑な造りを理解し始めた私は、いくつもの階段を降りて人事部へ辿り着いた。


「失礼致します」


 ノックをしてドアを開けると、そこには見慣れた光景があった。私が中へ入っていくと、ションリさんが気づいて、こちらへ駆けて来た。


「これはこれは、スザンヌ様‥‥‥。今日は、いかがなさいましたか?」


「ストラウド‥‥‥。様は、いらっしゃいますか?少しお聞きしたいことがございまして」


「ああ、ストラウド様は隣の部屋にある名簿を確認しておりますよ‥‥‥。呼んできましょうか?」


 ションリさんは大きく頷くと、身振り手振りで隣の部屋へ案内しようとしていた。


「たいした用事でもないので‥‥‥。隣の部屋ですよね? 大丈夫です。すぐに終わりますから」


 私がそう言うとションリさは悲しそうな顔をしていた。私は何かしてしまったのだろうか?


「ご案内出来なくて残念です。帰るときは、お声がけください」


「分かりました。ありがとうございます」


 私はそのまま隣室へ向かうと、扉をノックして中へ入った。




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