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第九話 【突然サバイバルが始まった件について-3】

 さて、そんなこんなで大雨が通り過ぎて。

 この間までの地面や風景を見てるに、こういう事が頻繁にある場所では無さそうなんだけどなぁ。

 多分、次を警戒する必要は無さそう……だと思いたい。


 何だったんだろ。

 変な雨だったなぁ。


「ヌー」

「ん? 着いて来いって?」


 ミミちゃんが着いて来いって言ってる。

 言ってないけど言ってると思う、多分。

 あ、この子の名前はミミにしました。

 ミミズのミミちゃん、可愛いよね。


「え!? これって!?」


 何かここの地面だけ妙に綺麗になってる?

 いや、これは耕されてるのかな?

 凄い、新鮮な土だ。

 色々育ちそう!


「えっと、ここをミミちゃんが?」

「ヌー!」


 ナイス過ぎる!!

 えー、何を植えようかな?

 もう全部いっちゃうか!


「ミミちゃん凄いね。もし出来るならこの辺り、良い感じに耕しておいてくれる?」

「ヌー」


 ミミちゃんのお陰で種蒔きが出来てしまった。

 ただでさえ足場が悪くて困ってたのに、助かり過ぎる!

 どうなるんだろ、楽しみ!




 ━━━━━




 あれから少しだけ周囲の確認に行ってみた。

 何だかここに来てから凄く身体が軽くて、割と色々な所にヒョイヒョイと行ける様にはなったんだけど、基本的に森が鬱蒼としていてかなり進み難い。

 イモモを肩に乗せているんだけど、それが重荷になっている感はないから、単純に歩き難い道って事だと思う。

 因みにイモモは見た目以上に軽い。

 その上でハイスペック。

 つよすぎ。


 そう言えばパトちゃんが前に言っていた川はアジトから西に行った所で前に見つけている。

 流れはそんなに早く無かったんだけど、雨の後から流れが凄い事になっている。

 落ちたら死にそう。

 それに川の流れる場所は少し谷になっていて、底まで下りないと魚が取れ無さそうなんだ。

 だから僕が魚を捕まえようと思ったらちょっと時間が掛かるだろうなって感じだったんだよね。


 谷の上から釣りが出来る道具でも作れたら良いんだけどなぁ。

 そんな強度の木なんて早々に見つからないし。

 うーん。

 魚が取れるとかなり助かるんだけど、難しいね。


「にゅっ!」

「ん? 何してるのイモモ」


 イモモが突然川に向かって糸を吐き出した。

 いやいや、届くの?

 それに届いたとしてもそれじゃ釣れないから。


「にゅ!」

「えええぇぇぇ何でだよ!」


 それから僅か数秒。

 呆気なく魚が釣れてしまった。


 どういう事だよ! って事で釣れた魚の様子を見るに、どうやらこの糸に身体の何処かが触れると引っ付く様に、粘着性の糸を吐いていたらしい。

 しかもネチャネチャしているのは先端だけっていう。

 イモモ凄すぎない?

 この子、餌なしで谷の上から釣りしてるんだけど。


 それから暫くの間イモモが魚を釣ってくれた。

 釣ってくれた魚はアジトに戻った後に、燻製にしていつでも食べられる様にして保存しておいた。

 食料が安泰過ぎる。


 魚が取れるってのと、長期的に見て野菜や果物が収穫出来るかもって所で、ひとまず当面の問題はクリアかなぁ。


【ご飯、寒さ対策、クリア!】

 バーン、いぇい!


 次はこの近辺を少し探ってみようかな。

 今はイモモも居るし、少しくらい遠出しても大丈夫?

 だと信じたい所だね。

 分からない事は減らしていかないと、どちらにせよ危険は続くからなぁ。

 小さ目のリスクくらいは取っていかなきゃね。



 ━━━━━━



 そんな訳で頑張って周囲を探索してきたから、ちょっとここまでの生活を纏めてみようと思う。


 まずここは森に囲まれたアジトで、一応少しだけ台地みたいになっている。

 僕はその上に自分の寝床を作って、更に今はイモモも居るから寝床の補強と布団を作って睡眠環境は何とか確保。


 でアジトの台地横、アジトの下の地面を、これまた仲間になってくれたミミちゃんが耕してくれたので、そこに種を蒔いた。

 驚いた事に翌日には芽を出していて、どうやらミミちゃんの土で育つ植物は成長が早いらしい、と今は予想している。

 思っているより早く収穫出来るかもって事で、ちょっとずつ規模を拡大する予定。

 普通に楽しみ。


 そしてこのアジトから西に行くと川があり、その川はアジトの北側まで繋がっていて、そのまま北東へと続いている。

 流れ的には北東側が上流で、南西側が下流っぽい。

 川の流れに沿って下流の調査に行ってみたいけど、今は一旦我慢している。

 ちょっと怖いからね。


 後東と南は普通に森しかなかった。

 あまり探索出来なかったって事もあるけど、森が深くてこれ以上は帰りに支障が出そうで断念。

 つまり西と北は川に遮られていて、東と南は森。

 自然に守られ過ぎていて、人の気配なし。

 つらすぎる。


「にゅっ!」

「ヌー!」


 でも今はイモモとミミちゃんが居るから一旦良しとしよう!

 出来れば寝床をもっと良くしたり、後は倉庫を作ったりしたいけど、中々そこまでは手が出ていない。


 ひとまず出来る所からって事で、イモモの糸で作った布に地図を書き始めた。

 この辺りの事がもう少し分かれば動き易くなるんだけどなぁ。

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