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第三話 【ドラゴンに拉致された件について-3】

【アラン】


「いえ、味付けを……」

「味付け?」


 あ、危なかった。

 昔聞かされてた話は本当だったんだ。

 もしも勝手に食べてようものなら今頃きっと……怖っ!


「ガブリ」

「うぅ、美味しそう……」


 うぅ、けどさ。

 あぁー良いなぁ。

 美味しそうだなぁ。

 というか、食べてる姿もかっこいい良いなぁこの人。

 美人だし、スタイルも良いし。


 というか服がね。もはやあれは服というより下着でしょみたいな服なんだけど。

 下着にしても布面積が少な過ぎる。

 目のやり場に困るよぉ。

 胸なんてほぼ見えてるじゃん。


「うんんんま!!」


 あぁー美味しそうに食べてるなぁ。

 そうだよねそうだよね。あの柔らかそうなお肉にちゃんと味を付けたなら、もーー美味しいよそりゃ。

 素材が良いのに味付けまでされてるんだよ?

 ……良いなぁ。


「オヌシなかなかやりおるな」

「あ、ありがとうございます」


 バクバク食べてる。

 元がドラゴンさんだから、沢山食べるんだろうなぁ。

 僕の分……いや、殺されなかっただけマシだ。

 そう思っておこう。

 見逃して貰わなきゃね。


「分かっておる。一口やるから食うがよい」

「良いんですか!?」


 え!?

 貰えるの!?


 はむはむっ!

 美味しぃぃぃぃぃぃ!!

 普段食べてる硬いお肉とは全然違う!!

 口の中でジュワジュワ肉汁が溢れてきてトロけるみたいに無くなってく!

 あっという間に全部食べちゃうよこれ!


「ほれ、これも食うがよい」

「えー嬉しい!! ありがとうございます!!」


 まだくれるの!?

 優しい!

 えーなんだよ、誰だよドラゴンが怖いって言ってたの。

 人より凄く優しいじゃん。

 しかも美人でカッコいいし。


 というかお肉が美味しぃぃぃぃぃぃ!!


「オヌシ、名は何という?」

「僕ですか? アランです」


 はぁー美味しかった。

 あっという間に無くなっちゃったよ。

 何かもう幸せ。

 幸せってこう言う事なんだなぁ。


「よし、アランよ。肉は美味かったか?」

「はい!」


 あんな美味しいお肉初めてだった!!


「ならば対価は十分じゃな。よし、妾の物になれ」

「はい! ……え?」


 ん?


「えー、ここか? うむ、核はここじゃな。我が名、パトリ・ドラゴンロードの名に置いて、そこなわっぱ、アランを我が下僕と認めよう」

「……へ?」


 何か僕の心臓辺りに指を当てながら何か言っている。

 何か腕がゾワゾワする感じがして見てみたら、見慣れない痣が浮き出て来た。何か怖い、けどちょっとカッコいい。あーこれドラゴンみたいな模様なんだね、えへへ。


「あの、こ、この痣みたいなのは?」

「我が配下となった証じゃな」


 ん? 配下?


「え? こ、これって消えますか?」

「消えんな、一生消えん」

「えええええ!?」


 消えないの!?

 困るって、こんなカッコいいの腕にしてたら帰った後に怒らられちゃうよ、というか殴られる!

 街と院と、とにかくみんなに殴られちゃうよ!


「ガアアアアァァァァ!!!」

「うぇぇええ!?!?!?」


 ギャァァァァァァ!!

 ドラゴンのお姉さんがドラゴンに戻ったァァァァ!!!

 怖すぎぃぃぃぃ!!!


 ……あれ?

 こっち見た、怖い。

 グルルルって喉笛をならしている。

 何だろう、というか僕を掴んでる。

 ぐぇぇ、こ、これちょっと苦しいです……。

 何で掴んだの?


 ……え? まさか?


「う、嘘ですよね? まさかこれ」


 バサリと翼を広げて、とんでもない勢いで飛び上がった!

 お腹がヒュンヒュンする不思議な感覚を味わいながら僕は心の底から思っている事を叫んだんだ。


「嘘ですよねぇぇぇええええ!!!」


 どこ行くねーん!!




 ━━━━━




「こ、ここは何処ですか?」

「妾の巣じゃな。今日からここで暮らすからよろしく頼むぞ」

「えっと、そ、それって本当なんですか?」

「本当じゃな」

「本当なんだ……」


 これ無断外泊だから、絶対院長に怒られるだろなぁ。

 あー怖い、鞭で叩かれるの嫌だよ。

 というか暮らすって何?


「あの、ご飯作る場所は?」

「無いが?」

「え? じゃ、じゃあお風呂とかは?」

「無いが?」

「せ、せめて水は?」

「川が向こうに流れておる」

「え? じゃ、じゃあ寝る場所は?」

「ここじゃが?」

「え?」


 ここってそれまんま地面じゃん。

 嘘でしょ、こんな所で暮らすの?


 というか暮らすって何?


 隣に物がゴチャゴチャと置かれている場所があり、奥の方はここからじゃよく見えない感じだ。

 ここで寝るとしたら、身体が痛いだろうなぁ。

 これならまだ干し草の方がマシなんだけど。

 幾ら何でも死んじゃうってこれ。


「えっと、せめて僕が使える様に整えても良いですか?」

「構わんが、今日はダメじゃ」


 ばふんと。

 煙に消えたと思ったら人の姿に変わったドラゴンさん。


「妾はパトリじゃ。好きに呼ぶが良い」

「パトちゃん」

「……えぇじゃろう」

「ねーパトちゃん、なんで今日はダメなの?」

「これからまぐわうからじゃ」

「まぐわう?」


 ん?

 何かするのかな?


「ほれ、こっちにこいこい」


 うーん。

 よく分からないけど……あ!

 干し草あるじゃん!

 この上なら痛くな……えぇ!?


 え、えぇ!!!

 何で脱がすの!?


 ギャァァァァァァアアアアアアアア!!!

 食べられるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!

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