表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/28

第二十六話 【迫り来る暴力-5】

 目の前で、串刺しにされたイモモ。


 僕のせいで、槍で刺されてしまったイモモ。


 刺された瞬間から動かなくなり、


 そしてそのまま槍を振り払う様に地面に捨てられたイモモ。


 無惨な姿で転がっているイモモ。


 僕がパトちゃんに運ばれて、この地に連れてこられて、


 最初に友達になってくれたのがイモモだった。


 そのイモモを、失った。


「お前様!! 腑抜けている場合ではない!!」

「逃げるのら!! とららもがんばるから逃げるのら!!」


 ミミちゃんも、フェリスも。


 みんなみんなやられてしまった。


 もう、ダメだよ。


 無理だよ。


 これ以上頑張れないよ。


 誰も犠牲にしたくなかった。


 みんなで、静かに暮らしていたかった。


「お前様!!」

「ご主人(しゅじん)さま!!」


 それだけなのに、どうしてこんな……。


 痛っ!!


 とらら!?

 今僕をぶった!?


「おきるのら! ねちゃメッなのら!」

「と、とらら……」

「みんなで生きるのら!!」

「!!」


 そうだ、まだ、死んじいないんだ。


 生きなきゃ、イモモの分も。


 僕は死んだイモモを拾い上げた。


「走ろう、川に飛び込めば……!?」

「ブモッ、ブモッ」


 まただ。

 僕が腑抜けていたせいで、回り込まれて……。

 でも、それでも今は!!


「東に抜けるしかない!」

「分かったのら!」

「何とかやってみよう!」


 逃げるんだ、生きるんだ。

 イモモの分まで、フェリスやミミちゃんも、助けるんだ!


 まだなんだ、生きるんだ!


「くっ、数が多過ぎる!」

「と、とららはもう……」

「ダメだよ! みんなで行こうよ!!」


 走りっぱなしだったとららは、特に疲労の様子が酷くて。


「とららが、あっちに走るから、みんなは東に……」

「嫌だよ!! とららも一緒だよ!!」

「でも……」


 そんな健気(けなげ)なとららを、置いて行くなんて出来なくて。


「拙い、囲まれるぞ!」

「ご主人(しゅじん)さま……」


 誰も失いたく無くて、僕は結局。


「ダメだ、やられーー」


 みんなを、失って……。





 ーー?


 あれ?


「攻撃が……止められているの?」

「物理障壁だと!?」

「ご主人さま、イモモが、光って……?」

「……え?」


 僕の腕の中で眠っていたイモモが、薄く光っていて。


 その光は徐々に強まり、そしてー!!!



 ━━━━━━━━━━

【シルキーワームが進化しました】


 ・フェアリー

 スキル【統括】

 ━━━━━━━━━━



「あらあら、私が居ないとダメね。あーくん?」

「へ?」


 抱いていた筈のイモモは居なくなって。


 代わりに。


 僕が誰かに抱かれていて。


「もう少し耐えるのよ。そうすれば、全部大丈夫だから」

「……え?」

「大丈夫、じっとしているのよ?」

「あ、はい」


 真っ白の、ふわふわした毛で覆われた美人のお姉さんが。


 信じられない程綺麗な羽を優雅に広げて、不思議な力で僕らの事を守ってくれている。


 何処と無く、顔に見覚えがあった。


 そう、その表情はーー


「イモモ……なの?」

「あらあら、それ以外に誰が居るのかしら? あーくんはいつまでも慌てん坊なままね」

「ど、どうして? 死んじゃったんじゃ?」

「さぁ? 私にも分からないのだけれど、気が付いたらこうなっていたわ」

「えぇ……どう言う事?」

「あーくんが好き。守りたいって願っていたのよ?」

「うん、分かんないけどありがと。凄く嬉しい」

「ふふ、良いのよ。私もあーくんが大好きなんだから」


 見覚えのある頼もしい雰囲気。

 何故だろう。

 イモモが居ればきっと大丈夫だと思えるから、不思議だ。


「ほら、そろそろあーくんにも聞こえて来たんじゃない? 頼もしい音が。力強い、翼の響きが」

「え……まさか!!」


 空から聞こえる、理不尽の塊の様な羽の音色。

 あぁ、そうか。

 彼女が帰って来てくれたんだ。


「おんしらァァァ覚悟は出来とるんじゃろうなァァァアアアアアアアア!!!!!!!!」


「ブモッ!?」


 ズドーンと。

 地面をえぐる様に空から舞い降りたそのドラゴンは。


「こんの、豚畜生どもめがァァァァァァ!!!!!!」


 見覚えのある燃える様な赤い色をしており。


「ガアアアアァァァァァァァァ!!!!!!!!」

「ブモッ!?」

「ブッ!!」

「ブガャバッ!?」


 とても頼もしく、また美しく僕の目に輝いて映り、


「バハアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「ブベァ!?」

「ブギャッ!?」


 そこからは、まさに一方的な蹂躙となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ