第二十一話 【突然サバイバルが始まった件について-ED】
「ふぅ、ここがアジトだよ」
「ふーん、平凡な所ね」
「おぉ! 遂に平凡まで来た? やったね!」
「褒めてないのよ?」
オーガの里での情報集めを終え、フェリスを保護した僕らは一旦アジトへ帰還する事にした。
「む、お前は……ガフェリスか」
「生きていたのねガローヌ」
「恥ずかしながら、な」
「そんなのお互い様よ」
やはりというか、ローヌとフェリスは知り合いで。
「どう生き延びた?」
「私は里に居なかったの。狩りの遠征でね」
「ならば共に出た仲間はどうした?」
「様子がおかしいからここで待てって。それっきり」
「そうか、素晴らしい判断だ」
互いの存在を確かめ合う様に無事を祝い合っていた。
何というか、自称落ちこぼれのローヌに、勝ち気なフェリスだからもっとバチバチになるのかと思ったら、案外そんな事は無かった。
穿った妄想をして申し訳ない。
「ヌー、主人さまー」
「どうしたのミミちゃん?」
「ちょっと見てほしいのー」
「ん?」
連れて行かれた先には見事な貯水槽が。
地面を掘って川の水をしっかりプールしている。
……ん?
でもこれ水が溜まりっぱなしじゃない?
逃していないから溢れそうなのに……溢れていない。
んん?
「これって?」
「地下に穴を掘ったのー」
「あー成る程ね。だから溢れて居ないんだ」
「地下っていっても真ん中辺りだから、水の勢いが減っても直ぐにここが枯れたりはしないのー」
「凄いねこれ。何でこんな風にしたの?」
「水の道が多過ぎると、区画の変更とか模様替えの時に困ると思ったのー」
「偉すぎ」
成る程ねー、確かに新しい建物とかも増えてきたし、畑を拡張する事もあるかもしれない。
そうなると、地上にある既存の建築物に左右される事になるから、その要因を少しでも減らそうって事。
いやこれ偉すぎ!
「ミミちゃん凄い!」
「ヌーもっとほめてー」
「ミミちゃん偉いー!」
「わーくしゃくしゃだー嬉しいー」
ミミちゃんの髪の毛をワシャワシャしながら沢山褒めた後、再びオーガの二人の元へと戻ってきた。
「見た目が貧相になったと思ったら、ガローヌは人についたのね」
「私なりの生存戦略だ。ガフェリスこそどうするつもりだ?」
「私? うーん、もうこの一週間泣きつかれから、少し落ち着きたいとは考えてるわね」
「それでここに来た訳か」
「そういう事よ」
「ガフェリスは安全と安心、食料を与えて貰って、何を返すつもりだ?」
「えっ」
んん?
僕としては別に何も要らないんだけどなぁ。
ローヌはそういうのちゃんとしてるんだね。
大人だなぁ。
「えっと、その……果実を持ってくるわ」
「果実など、そこのミミ殿が栽培してくれている。わざわざ取りに出る事の何倍もの価値を提供している先駆者がいるぞ」
「なら狩りよ!」
「お、それ助かるんじゃない?」
「肉ならお前様が偵察のついでに捕って来るそれで事足りている。無闇やたらと殺生するべきではない」
「うぅ。そ、それなら護衛……」
「イモモ殿はトラップの設置、高所からの対ショック、獲物の捕縛から、遠距離攻撃、遠征先でのトラップ付きの借宿から衣服の精製まで。どちらを連れて行くかなど火を見るより明らかだろうに」
「うぅぅ……」
そんな追い詰めないであげて欲しいけど、きっとローヌは助け舟を出しているんだろうなぁ。
彼女がここに居る理由を作れれば、それは彼女の安全に繋がる。
胸を張って来い、って感じかな。
お客様待遇だと、出て行く日が来ちゃうかもだもんね。
「料理も出来ないし、私、何も……」
「……そうか」
「……うぅ」
追い詰め過ぎィィィィィィ!!
出てこないのならそんなに追い詰めちゃダメだって!
「あ、あの、オーガの私でも良かったら、その、よ、夜のお相手を……」
「いやいやいやいや、それはダメだって」
ほらァァァこんな事言い出すじゃん!!
その発想も危ういけど、そもそも追い詰めたからじゃん!!
ダメだってこれは!
「お前様の言う通りだ。ガフェリスは何か思い上がっている様だが、彼は人の身にしてオーガに匹敵す」
「わァァァァァァァァァ!!! 何言ってるの!!」
「そこまで……なの?」
「うむ、まさかあれ程とは私も驚いた。この身がはち切れるかと思」
「わァァァァァァァァァ!!! 何言ってるのって!!」
ダメってそういう事じゃないから!!
「それに、私ですら第四妃。彼は事足りている」
「ねぇもうやめない? この話。僕怖いんだけど」
「私頑張るから!!」
「えっ」
待って、あ、あれ?
フェリスの雰囲気が……。
「頑張るから!! 何でもやるから!! だからお願い、ここに居させて!!」
「私に頼むな。誰に頼むべきか分からんガフェリスではあるまい」
「アラン!」
「はい!!」
ギャァァァこっちきたァァァァァァ!!
近い近い近い近い近い近い近い!!!
顔に息が当たってるからァァァァ!!!!
「何でもやるわ、私に出来る事なら」
「は、はひ……」
「頼れる人が誰も居ないの。貴方のくれたスープの温かさが忘れられないの! お願い、頑張るから一人にしないで! 私もここに居させて!」
「え、えーっと。い、良いんじゃない?」
「うむ、よく言った。意地を張る事が必要な時もあるが、今はそれではダメだからな。それで良い。お前様の許可も頂けた事だ、私共々励むのだぞ」
「勿論よ! 何でも言って、私、頑張って覚えるから!」
「え、えぇ……」
そんなこんなで。
一時的では無く、フェリスもここに住む事になったっぽい。
大丈夫かな、僕の身体。
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【テイムされました】
・オーガプリンセス
スキル【センス】
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